第8話 幼馴染みから婚約者へ
ベルナンドとジルベルトの二人が再起動したのは、しばらく経ってからだった。
「本当にごめんなさい...こんなつもりじゃなかったの...」
トリシャは平謝りだ。
「もういいですから、頭を上げて下さい、トリシャ様」
「それより、さっき言い掛けたことを教えて下さい」
トリシャは頭を上げて、
「うん...私ね、二人に婚約者のフリをして貰えないかお願いしようと思ってたの」
「婚約者のフリ...ですか...」
「そう。王子様お二人が来ている間だけでいいからフリをして貰って、少しでも時間を稼ごうかなと...」
「なるほど、そういうことだったんですね...」
「それなのにあんなことになっちゃって...本当にごめんなさい...」
トリシャがまた謝りモードに突入しそうになったので、ベルナンドは慌てて、
「い、いえ、その...う、嬉しかったですよ? 頼って頂いて」
「本当に? 嫌じゃなかった? 好きでもない相手にあんなこと言われて」
「い、嫌なんてとんでもない! 寧ろ光栄というか...」
「えっ? どういうこと!?」
それまで黙っていたアイシャの瞳が怪しく光った。
「で、ですから、ぼ、僕達二人もお二方のことを昔からお慕いして...あっ!」
ベルナンドは慌てて口を押さえたがもう遅い。アイシャとトリシャの目は獲物を見付けた鷹のように鋭くなった。
「あらあら! まあまあ! ちっとも知らなかったわ。何時からなの?」
「は、初めてお会いした時からです...」
「あらやだ! あらやだ! それじゃあ初恋ってことなの? そうなのね? そうなのね?」
二人は真っ赤になって俯いてしまった。
「まあまあ! まあまあ! なんて初々しいんでしょう!」
二人は今にも爆発しそうだ。
「お姉様、それくらいになさいまし。二人が限界ですわよ。でもこれは...瓢箪から駒、棚からぼたもち、嘘から出た誠かも知れませんわ。あなた方、私とお姉様どちらがお好み?」
するとまずベルナンドが、
「ぼ、僕は昔から年下が好きで...トリシャ様が...」
次はジルベルトが、
「ぼ、僕は逆に年上が好きで...アイシャ様が...」
「あらまあ...これは...」
「浮気の心配は無さそうですわね...」
アイシャとトリシャは目を合わせて、
「では本当に婚約しちゃいましょう! 私はジルと」
「私はベルと」
「「 えええっっっ!? 」」
ベルナンドとジルベルトの声がキレイに被った。
「早速お父様に連絡しましょう!」
「ベルとジル、あなた方の実家にも連絡してね!」
「「 ま、マジですかぁ~! 」」
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