第37話 私も入れてよ

「結局どうする?」


「体育の後だから濃いものとか食べたいね。」


「だよな、けど……選択肢が多すぎる……っ!」


「ぼ、僕が決めていいかな……?」


「おお、それは勿論だ。」


「じゃあ言うね?」


「よっしゃ来い。」


「……天上一品」


「それだ!」


 天上一品!

 これだ!あのドロッとした濃厚で旨味の強いスープによく絡む麺!肉の味の強いチャーシューに甘いメンマ……


 唐揚げも堪らないんだぁ……


「矢追駅の一駅先の尻店路駅の前にあったからそこに行こうよ。」


 何と……そんな近くにあったのか……

 常連になっちゃおうかな。ポイントカードとかあったら貰っておかないとな。あ、今の時代はアプリかな?


「そんなとこにあったのか……じゃあ放課後行こうな!」


「うん!」


 ~高瀬side~


 凄い……進歩した……!


 これが偉大な一歩となる!


 いつかは……恋人になりたい。


 そうだ、博大を獲るって決めたんだ。


 この一歩は絶対に大きくなる、絶対にだ。




 ~???side~


 まさか本当に大事になるとは思ってなかったけどねwww



 ***



「はい!今日も一日ありがとうございました!皆さん、さようなら!」


「「「「「「「「「「「「「「「「「さよーなら!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」


 何だこれ、小学校低学年か。



 リュックを背負い、机の上に椅子を乗せ机を後ろへ送る。

 これは掃除班が掃除をしやすい様に机を後ろに送ってあげるというものだが、結局元に戻す


「じゃあ~な~、楽しんで来いよ~。」


「う~ん、若林は掃除か?」


「書道教室の掃除だぜ!」


「頑張れよ、墨汚れ酷いからなあそこ。」


「俺にかかれば一瞬だぜ♪」



 そして待ちに待った天上一品ですよ……


 楽しみだなぁ!


 いつぶりだろう?大体いつもお父さんの実家がある京都の本店で食ってるから……去年の夏休みは受験勉強で行けなかったから……約二年前!


 もうそんなに行ってたなかったのかぁ……


 尚更楽しみだ。



「じゃあ行こっか♪」


「おう!」



 階段を降りて正面玄関へ向かう。


「平本君っ!」


「うぇ、先輩?」


「そうだよ!」


「え、はい。どうか……しました?今日って委員会ありましたっけ?」


「無いけど……ん?」


「ん?」


「え?」


「う?」


「あ!あの……話があるんだけど……」


「ふぇ……何すか……?」


「き……」


「き?」


「き……」


「きぃ……」


「今日どこかに寄って帰らない?(クワッ!)」


「あ……」


「ど、どうしたの?」


「あの……」


「うん……」



 ~三輪side~


 え……何!?


「あ……」ってどうい事!?


 い、一緒に行けないって事……?


 か、彼女が出来たって事……?


 許せない……


 そんなの絶対に許せない


 私と平本君は赤い糸で結ばれてるから、平本君がどんな女と付き合っても問題は無いけど、糸を手繰り寄せるのを邪魔されるのは何が何でも許す事ができない


 その女絶対に見つけ出して引き延ばしてやる。


 そろそろ周りに私と平本君の関係性を広めて女共に見せつけてやるしかない。


 その為には準備しておかないと……


 その前に、平本君と付き合ってるどこの馬の骨か分からない阿婆擦あばずれを始末しないと……




「今日の放課後は高瀬と一緒にご飯行くって約束してたんですよ。」


 何だ、そんな事ね。


「私も言っていいかな?」


「俺は良いっすけど……高瀬は?」


「……僕!?」



「うん。」


「そ、そうだね、い、いいよ、」


「やったぁ!ありがとう!」


「尻店路駅前にある天上一品何ですけど……」


 ~高瀬side~



 ま、まさか玄関で待ち伏せてたなんて……思いもしなかった……


 しかも一緒に天上一品に行くことになるなんて……


 怖い。


 不快感よりも恐怖が勝る……


 本当に大きい一歩になりそう……


 怖い、けど



 ここを乗り越えないと獲れない。


 怖じ気づいている暇はない。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

掃除班についてグチグチ語ってるとこありましたよね。最初は「机を元に直す」ってしてたんですけど、ふと思い出したんですよ。メッセンジャーの黒〇と東〇が出てる番組で関東で「物を直す」は通じなく、「物を戻す」じゃないと伝わらないって言ってたのを思い出して。関西弁とかの方言ってこういう時に意思疎通が取りにくい面があるんですけど、そこが魅力でもあると思うんですよね。

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