第104話 魔国到着
俺達は新たにオキタを仲間に加え、当初の予定通りに魔国を目指す事になる。
「どうだオキタ。これが俺達の飛空船オメガだ」
「凄いですね。外から見た感じより遥かに広いですし、それに窓などある様に見えなかったのに、この見晴らしの良さは一体どうなっているのでしょう?」
「その辺は、俺達も全然理屈は解って無いんだけどな。まぁ便利だから気にしなくていいさ」
「は、はい」
「カイン。わしはちょっと転移門の制作に入りたいので、オメガの操縦は任せてよいのか?」
「お。無事に出来そうなのか? 頼むぞガンダルフ」
転移門を作る為の素材が揃って、ガンダルフはあてがった部屋の中で、生産に没頭する事になった。
「じゃぁレオネア、操縦は任せていいか?」
「うん。僕が求めた場所だしね。任せて」
レオネアの操縦で、東の空へと飛び立った。
◇◆◇◆
一方メーガンは、帝都のギルド本部で、ボルビックと帝国軍を掌握していたマクレガーの三人で話していた。
「それでマクレガー大佐は、現状帝国軍を手中に収めている以上、この国で最大の権力者であると思いますが、どうされるのですか?」
「私は、この国を変えたいと思う。今までの様な生まれだけで延々と支配者として搾取し続ける事が出来る貴族制度など、無くしてしまいたい。幸いと言うか、貴族家の嫡男達もヒュドラの襲撃によってほぼ居ない情況で、私の掌握している軍も、高位貴族家に連なる者は誰も居ません。民衆から選ばれた、民衆を守る為の軍として存在する事が出来れば、貴族制度を無くし、民主的な政権を起こす事も出来る筈です。その為には全国にあるギルドの力をお借りする事が重要だと思います」
「しかし、それではこの国に一万もある貴族家が納得せんだろう? どうするのだ?」
「私が支配下に置く兵士以外の軍属は20万が居ますが、これは逆に言えば貴族家一つ辺りにすれば、二十名平均の兵しか持たぬと言う事です。この帝都さえ新しい民主主義を受け入れれば、暫定的な指導者が帝国全土に貴族制度の廃止を通達してしまえば、従わざるを得ないでしょう」
「その暫定的な指導者は君かね? マクレガー大佐」
「いえ、私はそのような役柄は不向きです。世界冒険者ギルドのマスターであるボルビックさんにお願いしたいのです。各地にある冒険者、商業、傭兵のギルドに協力して貰えれば、不可能では無いと思います」
「どう思いますか? メーガン様。彼の言う事は実現出来そうですか?」
「簡単ではありませんが、不可能でも無いでしょう。各ギルドが中心となった新しい民主主義の国家を目指せばいいのではないですか?」
「解りました。このボルビックが暫定的にその大任をお受けしましょう。国がまとまり次第、国民が全員参加した選挙を行い、新しい政権に移行すれば良いと考えます」
こうして、帝国は民主主義への道を歩む事を決めた。
◇◆◇◆
「島が見えて来たよー」
「レオネア。あの島が魔国の領土なのか?」
「僕も魔国に関しては、そんなに詳しい訳では無いけど、この島は僕のパパが漂流してママに助けられた島だよ。バンパイア系の魔族が支配する島だと思うよ」
「他にも支配領域があるっていう事か?」
「魔国に関しては、殆ど情報が無いからねぇ。取り敢えず古代遺跡はこの島に存在するから、この島で情報集めをすればいいと思うよ?」
「なぁレオネア? 魔族って他の種族に対して支配的なのかな? というか俺達いきなり攻撃されたりするとか?」
「パパとママの関係性とか考えると、それは無いと思うけどね? でも交流が無いのは確かだし、絶対安全とも言えないけどね」
「取り敢えず、シグマの行動時間が心もとないから、海に着水して明日からの行動だな」
「了解」
「ガンダルフはどうなんだ? 転移門は完成したのか?」
「おう。最初のが出来た所だ」
ガンダルフが作り上げた転移門を試してみたが、無事に使用が可能だったので、素材が有るだけの量産を頼んだ。
翌朝、シグマのエネルギー充填も完了し、魔族の島へと向かう。
「この古代遺跡で、シグマタイプのゴーレムが手に入ればいいんだけどな」
「でもさ。カイン。態々別の個体で用意するって事は、機能も違うんだよね?」
「どうだろうな? アルファ。他の高軌道ゴーレムの情報って解るのか?」
「お答えします。私達ではシグマ以外の情報をもたらされていません。各本体に仕様説明書が付属するはずですので、それをご覧になれば解る筈です」
「てか、それだとどうせ古代文字なんだろ? まぁここの古代遺跡が終わればナディアの所に戻ればいいか。転移門が量産出来れば一つはユグイゾーラに設置して置けば今後便利だしな。メーガンにも渡して置けば。いつでもここに合流できるし」
その時だった。
空を飛ぶオメガに向かって、地上から攻撃が襲い掛かって来た。
初撃が直撃したが、オメガの結界により何とか防げた。
「この攻撃は…… ブレスか。ドラゴンタイプのモンスターが相手だな」
「レオネア。上昇だ取り敢えず距離を取れ」
「了解だよ」
その返事と共に、一気に高度を上げる。
すると、島から飛竜やワイバーンでは無い、属性竜が次々飛び立ちオメガを追いかけて来た。
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