【判別の儀式】

時間になり、順番に教会の奥に入って行く。


私達は1番最後だそうだ。基本的に魔法属性は血筋に影響すると言われている。魔力が高く、属性適正の種類が多い者が交われば必ずでは無いが、比較的高い確率で才能が引き継がれる。故に、王公貴族達は血筋と能力に拘る。高い魔力と数多くの属性適正はステータスになるし、対抗勢力の抑止力にもなるからだ。

王族ともなれば高いポテンシャルを持っているので最後のとりには持ってこいなのだ。


とはいっても・・・・暇である!


私はひかりさんとじゃれあいながら遊んでいた。そしたら王女様と王子様も寄って来てワイワイきゃきゃっと仲良く遊んだ!

わたしたちごさいだよ!

(王族に関わらないって?何の事?わたしごさい!遊びたいお年頃。屋敷にいて友達居なかったから楽しいの!)


楽しい時間はあっという間に過ぎて、遂に順番が来た。何故かアイオス王子とイーリス王女が先に、判別の儀式を受ける事になっていた。どうやら私に光の精霊がいるので最後の楽しみになったそうだ。


アイオス王子から受けて、光、火、土の3つの属性適正が判明した。

攻撃魔法重視の属性だね!ちょっと羨ましいぞ!?

大抵は1~2つが主流なので中々と言えるだろう。属性適正が3つ有れば宮廷魔導師にスカウトされるくらいレアなのだ。

属性の相性もバッチリだしね。ってか、光属性があったので騒ぎになった。



次はイーリス王女で、光、水、風、の3つでした。属性が回復系の支援魔法オンリーなのでサポート系だね。ってか、光属性あるし聖女と言っても良いのではジャマイカ?


周りは、王族の二人が激レアな光属性を持っていた事でえらい騒ぎになった。

(もしかして光さんが何かしたのかな?)


そんなこんなで、私の事は少し忘れられていたよ。そして司祭さんが漸く思い出して私も教会の奥へと進みました。少し広い部屋の中央に台座があり、綺麗な丸い水晶が乗っていた。その水晶に手を置くように言われて置くと、とんでもない光が水晶から放たれ教会から溢れた光が天を貫く様に立ち登った。


ちなみに私は閃光弾を受けた感じで両手で目を押さえて目が~目が~と、のたうち廻って転がっていた。何とも締まらない状態でした。


少し経って、光が収まりお父様や王子様達が慌ててやって来て床で転がっていた私を抱き抱える。


「大丈夫か!シオン!?」


私に呼び掛けるお父様に目が(∋_∈)ショボショボするよ~と言って漸く視界が戻ってきたよ。そして、司祭さんも水晶に映し出された適正属性を見て唖然とした。


「司祭殿!シオンの適正属性はどうしたのだ!」


お父様の声にはっとして、皆に水晶を見せる。そこには─


【適正属性】

火、水、風、土、光、闇


全ての属性に適正があると映っていた。おおぉ、全属性持ちってチートだよ!やったね♪私は内心喜んだ。でも周りの皆の顔が恐かった。


「シオン。大変な事になったぞ!」


何が?


「全属性持ちなんて前代未聞だぞ!これからこの国の、王公貴族や他国の者に狙われる!」


なんですとー!?


「幸い、周りの者達は王族達が光属性と3つの属性適正があったので、そちらに気を取られている。だからー」


「シオンの全属性持ちを秘匿するのですね?」


途中で王子が割り込んで理解を示す。


「察しが良くて助かります。王子、我が娘可愛さだけでは無く、無用な争いの種になるのは防がなければなりません」


お父様は王子やその場にいた関係者に片膝を付き、許しを乞うようにお願いをする。


「どうか!この事は内密にお願い致します!我が公爵家で出来る事は、可能な限りの事はしますので。どうか!!!」


お父様の必死の訴えに私はそんなにまずい事なのかと改めて認識し、どうしようとo(T△T=T△T)oあわあわしてしまった。


「カインおじ様。お願いされなくても黙っていますわ」


「僕も同意見だね。父様と母様には報告はするけれど、それ以外に他言する事は無いと家名に誓います」


おお、王子と王女かっちょええ!


「私も教会の司教として、争いになる事は他言しません。ただ、シオンお嬢様には光属性はあるとして、王女殿下と同じ属性があると公開すれば、下手に隠すより王女殿下と同等だと公開して多少目立った方が良いかと思うのですが?」


皆が少し考えにふけると─


「うん、良い考えだと思います。下手に隠すより、それなりに凄いと公開すればそれ以上探ろうとする者はいないでしょう」


こうして話がまとまり、各々が自宅へと帰っていった。帰り際に王女様から是非、今度遊びに来てねと言われた。ふふふ、ういやつめ♪外に出ると朝とは違い、太陽が出て晴れていた。


我が家公爵家に戻ると、案の定騒ぎになった。


「王族に借りが出来てしまったな。1度、シオンを連れて登城しなければならないか・・」



公爵家の心配事は続くのだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

【後書き】

愚者の声

「うわぁ~引くわー!今時チートってないわぁ~」

シオン

「・・・・」

愚者の声

「やっぱり、無能力者が頑張ってエリートを倒す方が面白いと思うのですよ!」

シオン

「・・・・」

愚者の声

「今からでも本筋変えようかなー?シオンにチートは要らないよね?弱くなればあんな事やこんな事をふふふ・・」

シオン

「シ・ネ・!」

地獄の底からの低い声

(お母様のマネ)


愚者の声

「はうぁ!?」

ガック・・・









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