若気の至り

中学生の頃のお話です。

クラスメイトの直人(仮名)が健二(仮名)にこう言っていた。

『なぁ健二、お前、姉ちゃんと同じ部屋でさ、寝てる間に悪戯したりしねぇの?』


『しねぇよ』


『可愛い姉ちゃんだもの、寝てる間におっぱい触ったりしないの?』


『なんでだよ、肉親となれば違うもんだぜ?あんな直ぐ怒る女、

うるせーだけだよ』


『そんなもんかねぇ・・・・』


『あぁ』


『なぁ!健二んち、今日行っていい?』


『あ?姉ちゃんなら部活だからいねーよ?』


『姉ちゃんかんけーねーよ、今週号のジャンプ読ませてくれよ』


『あぁ、まぁいいけど、ジュース買ってくるならな』


『おっけー!』


他愛もない会話だったのですが、健二が立ち去ったあとに、

章(仮名)が直人の側に来て声をひそめてこう言った。

『どうだ?行けそうか?』


『あぁ、今日やる、本当に1万円で買うんだよな?』


『当たり前だろ』


『しかし好きだね、パンツに1万円なんてよ』


『バーカ、中学生はいつでもムラムラしてんだ、

健二の姉ちゃんの生パンツなら安いもんだ』


あぁ・・なるほどね・・・

どうやら今日、直人は健二の家に遊びに行き、健二の姉さんのパンツを盗み、1万円で章に売るつもりらしい。


バカなやつら・・・


翌日、注意深く見張っていたが、トイレかどこかで取引したのだろう、

直人と章のやり取りは見られなかった。

しかし昼休みに健二が直人に言いにくそうに切り出した。


『なぁ、昨日なんだけどさ・・・パンツ、間違って持って行かなかったか?』


明らかにズキューン!と来た顔が少し離れた私でもわかったが、

『パ、パンツ?んなわけねねねねーだろ!』


動揺し過ぎ。


『そっか・・・なら良いんだけどさ』


『どどどどーしたんだよ』


動揺持続し過ぎ。


『うん、俺の部屋のベッドの下にお母さんが下着しまっててさ、

今朝、赤いパンツが無いって言うんだよ・・・俺に言われてもって感じだよな』


『そ、そりゃそうだよな、は・・・・はは・・・』


落胆し過ぎ。


健二が立ち去ると、直ぐに章が来て

『バ!!!おま!!!臭い嗅いで最高だぜって言ってたの

母ちゃんのじゃねーかよ!』


『わかったってわかったって、1万円返すから!な!勘弁!』


『んまぁ・・うん、パンツは返さなくてもいいかな』


『もらうんかい!!!!』



そんなコントのような出来事をそっと見守ったことがありますが、

もしかしたら性欲のアヤカシでも憑いていたのかも。

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