白い人

それは、昼間は人気の観光地で、

地元では遠足などにも使われる場所。


名前は明かせませんが、沼がある公園。


季節の移り変わりを肌で感じられるような、

とても素敵な場所で、周囲は記憶ではジョギングよりは、

お散歩に向いている程の大きさだったような気がしている。


当然の話だけれど、それは昼間の話。。。。


夜は正反対の顔を見せる・・・。

今回はこの沼での出来事をお話しします。


若かった頃の私は過去の読み物によく出てきたように、

友人と遊び回っては心霊スポットなんかによく行っていた。

これも以前話したけれど、私自身は行きたくないのだ、

持っていると思われる若干の能力のせいで。

しかしみんなで楽しく車で走り回り、行こう!となった場所に対して、

嫌だとも言えず、周りは逆にその私の若干の能力に期待していた。

そんな空気が自然に出来上がっていたと言っても良い。


市内からは車で結構走る。

2時間くらいだっただろうか・・・


真っ暗な沼のある公園の駐車場に到着。

3人が降り、1人が留守番をすることになった。

怖いからと言うのもあったけれど、こういう場所には見回りが来る事があり、

車内に残っていると会話になって、適当な事言って車を移動させれば

立ち去ったと思わせられるからである。


留守番に残ったのはA子


私たちはとりあえず沼を一周しようと言う事になった。

私を真ん中にして左にB子、右にC子と言う陣形である。

真っ暗ななか、やたらと蛙の声だけが響いていた、

合唱と言うレベルではない、警告のようにも感じた。


B子とC子の私を握る手の力が強くなったのが分かった。

口数も一気に減った・・・・。

途端に怖さが込み上げてきて1周出来ずに車へ小走りで戻った。


車に戻ると、残ったA子がハンドルに突っ伏して寝ていた。

居眠りかよ~と思い、身体を起こすと白目を剥いて

よだれを垂らしていたのでした。

慌ててビンタしながら声をかけて数秒、A子は戻ってきた。


『どうしたの?何かあった?』


『車の周りにたくさん人が来たまでは覚えてるんだけど・・・』


『ひとが・・・たくさん?。。。。。』


『うん、凄くたくさん・・・怖かった~・・・・』


『あの!!!!・・・・』


B子が突然後ろの席で声をあげた。


『私の左手・・・ずっと誰かに握られてた・・・・』


『ええ!!!!!?????私は右手!』


そう答えたのはC子。


お互いあいている手を誰かに握られていたと言うのである。

怖がらせると思って言えなかった、言わずにいたと言うのだ。


『あつつ・・・・』


この時強烈な耳鳴りと頭痛を感じた私は、

車を出そう、ここを離れようと告げるとその場所を後にした。


数日後、A子から電話があり、あの沼で一人で撮影した、

とりっきりカメラを現像に出したら飛んでもないモノが写っていた、

と連絡があったので集合して写真を見る事に。


A子は車を降りて看板を撮影していた。

その看板の周りには白い顔が無数に映り込んでおり、

車の周囲に人が来た時に夢中で写した写真には、

ブレてはいるが、確かに窓を叩く白い人が数人写っていた。


あの時B子とC子の手を握っていたのは、この白い人だろうか。

もしかして聞こえていた蛙の声も白い人達のうめき声だったのでは。

そしてこの白い人は何者なのだろうか。


それ以来その沼には行ってません。

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