第106話 第五話 その27 さくらじまああああああアアアアアアアアアアアアア!

「ぎゃああああ!きたああああああああああああ!」


 ちゅん助の悲鳴が響き渡った!

 もう一刻の猶予もない!

 行くしかなかった!


 行くしかない!


 行くしかないのだ!!!



「隊長!」

「本体への攻撃中止!」

「灰色の補充を防ぐのに切り替えてくれ!」


「勇者様!な、なにを!?」


 俺はマントを脱ぐと左腕に巻き付けダイオウの突進に対して身構えた。


「来いよ!クソ蟲!」


「ギイイイイイイイイイイイイイイ!」


 決着を付けてやる!


 慎重に!


 そして冷静にだ!


 ダイオウは反転し俺へと向き直ると増速!


 直線軌道で向かってくる!


 衝突まで5m!


 最終確認!俺の真後ろには爆人石弾群の地雷源!


 衝突まで3m!


 完全に奴の軌道は軸線上!乗った!


 衝突まで2m!


 今度は躱さない!いや躱せない!


 衝突まで1m!


 バックダッシュ開始!


 接触!!!!


 俺は全力で後退疾走しながらダイオウに左腕を突き出した。


 ガシガシ!

 数本の脚がマント越しに俺の腕を掴み引き寄せようとする!


 強い力!だがあくまで歩行用の脚だ!掴み引き寄せる力は抗えない程ではない!俺は引き付けられないよう全力で後退し抗う!


 地雷原まであと10m!


 一気に行くぞ!


 あと8m!


 ガシ!

 奴の脚がもう一本マントに絡みつく!


 マズイ!


 引き寄せられたら終わりだ!


 6m!


 動け!動け!俺の脚!

 この時のために若返ってんだろうがッ!!!


 全力で後退し距離が奪われるのを防ぐ!


 4m!


 ガガッ!


 奴の脚がさらにマントに触れそうになる!

 いけない!

 もう一本でも奴の脚がマントを捕らえたなら!

 もう引き寄せる力に抗えない!

 

 かといってバックダッシュ中の今、剣での攻撃を試みようものならあっと言う間にバランスを崩して一巻の終わり!

 

 いいや、それ以前に剣撃を加えるための重心が無い!


 3!


 ああ!足がもつれた!こんな時に!


 2!!!!!!


「くそおおおおおおおおおおおおおお!」


 バランスの崩れた体勢!

 大王に捕まれた左手一本!


 もう一か八か!

 渾身の力で左腕に込め、自身の身体を引き付け体勢を立て直す!


 1!!!!!!!!!


 ガシガシガシ!


 バランスを立て直すのと引き換えに奴との距離を失った!


 左腕一本のわずかな距離!


 その命の間合いを失った!


 無数の脚が左腕に絡みついた!


 もはや素手で払いのけるのは不可能!





 だが!





「おらあああああああああああああああああああああ!」


 ズバシュウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!


 バラバラバラバラ!


 捕まれた左腕で身体全体を引き寄せその反動で右手の剣撃!!!


 左腕を掴んでいた奴の脚、数本を切り払った!


「うらあああああああああああああ!」


 ドカッ!

 ズボッ!


 返す刀で思い切り奴の、白い魔王の顔目掛けてドロップキック!


 強引に左腕を引き抜いた!










「ちゅんすけええええええええええええええええーーーーーーーー!」

「さくらじまああああああアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」









 ゼロ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!






「ユイパイセーーーーーーーーーーーーーン!♡」

 パチコーーーン!!!!


 第五話

 その27 さくらじまああああああアアアアアアアアアアアアア!

 終わり

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