第31話 まさかの再会 その2
売店近くに有った自動販売機で、俺は缶コーヒー2缶買って1缶を女性に手渡す。
俺と女性はロビーのソファーに腰掛けて、俺は女性(美空)に、あの時起きた出来事を全て話す……
「私……そんな事、言っていたのですか!?」
「何だか恥ずかしい……」
女性は顔を赤める。
「……でも、お役に立てたようで幸いです」
「そんな現象。本当に起きるのですね…」
「あの……失礼ですが、あなたの事も伺いたいのですが…」
「あぁ、そうですね!」
「こちらの事も話さなければ、状況が一致しませんもんね」
女性はそう言って、生死を彷徨っていた時の事を話してくれる。
女性自身も夢を見ていたと言うが、俺ほど
男の人と生活をしていて、最初は
彼女が生死を彷徨う、切っ掛けに成ってしまったのは、小雨が降る夜間。アルバイト帰りに信号機の無い横断歩道を横断中に車に
幸い頭部は激しくぶつけなかったが、事故による出血が酷くて
外傷以外は肋骨・
美空が人形に入り込んでいたのが、どれだけの期間かは分からないが『気付いたら、体の動かせない人形に成っていて、何も出来ないまま時間だけが過ぎていった……』と言っていたから、有る程度の期間は人形で居たのだろう?
「それでは…、美空の姿は殆ど覚えて無いのですね?」
「ええ…すいません…」
「『美空』の名前だけが、凄く懐かしい感じがしたので…」
女性はそう言って頭を下げる。
「あっ、いえ……全然、気にしてませんので///」
「では…、リボンをお返しします」
俺は女性にリボンを手渡そうとするが……
女性は両手で俺の手を押し戻す。
「……それは、あなたが持っていて下さい」
「私が受け取っても良いですけど……、そのリボンは美空が、あなたにプレゼントした物です」
「あなたと美空を繋ぐ、唯一の物ですから…」
女性は静かな口調で言う。
「…そうですか」
「では、大事に預からせて貰います」
「…お願いします」
話も終わったし、余り引き留めては行けないので、俺は席を立とうとすると…
「あなたの名前は…?」
女性は静かな口調で、そう聞いてきた。
「…早見正輝です」
「早見正輝……珍しい名前ですね」
「そうですか…」
「……」
「…どうかされましたか?」
女性は俺がしばらく無言だったのが気に成ったのだろう。
「…いえ、美空の時もこんなやり取りが有ったので、それを思い出してしまいました」
「……私の名前は、聞かないのですか?」
「えっ!?」
「あなたは…、私に興味を感じて声を掛けて、
「…お聞きしても良いですか?」
「教えても良いけど…1つ条件が有る」
「条件…?」
「あなたの連絡先を教えなさい!」
「そうすれば、私の名前・連絡先を教えるから」
女性は冷静な口調でそう言う。
姿形は違うが、あの時の美空が目の前に居る様な気がする。
俺は何だか嬉しくなってしまう。
「はい! 今教えますから、美空の連絡先も教えて下さい!!」
「…私は、美空じゃ無いのだけど…」
「まぁ、良いわ」
女性と連絡先を交換する。
女性の名前は
俺は美空の事ばかりに気を取られていたが、その人を良く見てみると、少し幼さが残る女性で有り、俺好みの女性でも有った。
性格の方は、美空の魂と由佳の魂は同じはずだから、きつい性格なのは間違いないだろう!?
「また、近いうちにお見舞いに来るね!」
「ええ…その時はきちんと、お土産持ってくるのよ!」
「駄菓子とかは要らないからね!!」
最初から尻に敷かれっぱなしだが、悪い気はしない。
俺は、新しい就職先と女性の親友と出会う事が出来た!
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