第30話 まさかの再会 その1
それから何日か時が過ぎて……
今日は総合病院での健康診断(雇い入れ時健康診断)の日で有る。
予約した時間に病院に行って健康診断を受ける……
予約した時間が13時だったので、健康診断が終わったのは14時半を過ぎた位の時間だった。
俺は今まで大きな病気に掛かった事が無いので、病院に来るのはお見舞いで来る位で有る。
小腹が空いていたのと、病院内の売店も少し気に成っていたので、案内図を見て院内の売店に向かう。
売店の近くに来ると、松葉杖をついた若い女性とすれ違いそうに成るが、その女性は松葉杖に慣れてないのか、
「あっ、すいません…」
若い女性はそう言って、体勢を立て直して歩き去ろうとするが……
(あれ?)
(あの女性が髪に結んでいるリボン……美空のとそっくりだ!)
俺は自信が無かったが、美空の付けていたリボンと良く似ていたので、思わず声を掛けてしまう。
「あっ、あの、すいません…」
そう言うと女性は振り向く。
「はい…?」
思わず声を掛けたは良いが、この先の言葉が出てこない……
(この先、どうしよう?)
(いきなり美空のリボンを見せて『これ、あなたのですよね!』と言う訳には行かないし…)
俺は言う言葉を選んでいるが、女性の方は何も言わずに、俺の事を静かに見ていた。
そして、女性は首を傾げている。
「……?」
「あの、どこかで会いました?」
「えっ!?」
女性はそう聞いてきた。
「いえ、俺も初めて会いましたが……」
「……そうですよね?」
女性は作り笑顔をしながら、そう言うと再び歩き出そうとするが、俺は声を掛けて止めようとする。
「あっ……その、髪を結んでいるリボン可愛いですね…」
その言葉を言うと当然、女性振り向くが同時に『はぁ!?』の表情をする。
「病院内ですけど……」
女性は声を荒げなかったが不満の有る口調だった。
出会いを求められたのかと感じ取ったのだろう。他の人が見れば、そう
「すっ、すいません……」
「その、リボンが凄く懐かしかったので…」
「……この、リボンが?」
「はい…実は私も、似たような物を持っていまして……」
お守りにしている美空のリボンをバッグから取り出して、女性に見せると……
「えっ!?」
「それ、私のリボン!!」
「どこかに無くしたと思っていたら、何故、あなたが持っているの!?」
不思議と先ほどの女性の会話が、美空の会話と被ったような気がした。
「失礼ですが……最近、交通事故かその様な事故に遭いませんでしたか?」
「!!」
「えっ、ええ……遭いましたけど」
女性は、俺がその様に言ったのでびっくりしている。
美空の時の記憶は無いのだろうか?
「このリボンは、お返しします!」
「本当は一生のお守りにするつもりでしたが、本物の美空に会えて嬉しかったです!」
俺は女性にリボンを手渡そうとすると……
「……私、生死を彷徨っていた時が有るのです……。よろしければ、少しお話ししませんか?」
「私は、あなたに会っていた気がするの!?」
「あなたが言った美空って言う言葉も、凄く懐かしい響きがするし…」
偶然、出会った……。本物の美空と会話をする事に成った。
美空はまだ入院中なので、1階に有るロビーで話をする……
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