第23話 面接日 その3
……管理部長から質問される内容はどれも厳しい質問ばかりだった。それでも頭をフルに使って答えて行くが、脳が大分疲れて来ていたのだろう……
「―――、はい。ありがとうございます。次の質問ですが…」
「早見さんにとって、働く事は何ですか?」
「生活ためですか?」
管理部長はこの様な質問をしてきた。俺はここでうっかり本音を言ってしまう!
「はい!」
「世の中、色々有りますが、私は生活のために働きます!」
「お金が無ければ、趣味も楽しめないし、結婚も出来ません!」
俺は間違った事は言っていないはずだが、管理部長の顔が見る見る内に、険しく成って行くのが見えてしまう!!
(あっ……。本音言っちまった…)
俺がそう思った時!
何か、周りが一瞬光った気がした。
見覚えが有るから分かる、美空が魔法を発動させたのだ。
「あんた! バカ~~!!」
「何、本音言っているの!!」
「どこかの掲示板で書き込みしている訳じゃ無いのよ!!」
光った直後に、美空の罵声が俺の心に響く!!
「ごめん。ちょっと、あいつの質問で一気に疲れて…」
「良い訳は良いから!!」
「この時は『もちろん、生活のためも有りますが、社会的活動を通して自分自身を成長させて、更に御社の発展と地域貢献に努めたいです!』位言いなさいよ!」
「流石、美空だ…。良く、こんな回答思い付くね!」
「そんな事どうで良いから、さっきの言葉覚える。はい!!」
「えっと…もちろん、生活のためも有りますが、社会的活動を通して自分自身を成長させて、更に御社の発展と地域貢献に努めたいです!」
「はい! オッケー!!」
「最初の魔法は失敗したから、残りは後1回だけど、期待はしないでね…」
「あっ……やっぱり、あの時の失敗していたか…」
「私もどこかで、緊張していたのかもね?」
「もう時間だから、頑張るのよ!!」
「ありがとう。美空!!」
また、周りが一瞬光る。
すると、場面は例の質問1個前に戻っていて、俺はその質問に答えようとしていた。
他の人達は当然その事を覚えていない。それを覚えているのは、俺と美空と神様位だろう…
「―――、はい。ありがとうございます。次の質問ですが…」
「早見さんにとって、働く事は何ですか?」
「生活ためですか?」
「はい! もちろん、生活のためも有りますが、社会的活動を通して自分自身を成長させて、更に御社の発展と地域貢献に努めたいです!」
すると、管理部長は『ほぉ~』の顔つきをしながら顔を見上げる。
「大変、素晴らしい考え方ですね。ありがとうございます」
「では、私からの質問は以上にさせて頂きます」
管理部長からの厳しい質問攻撃を何とか耐えきった…
もし、美空が居なかったら、大幅な減点に成っていたのは間違い無いだろう……
しかし、まだ面接は終わっていない……。最後にミスをしないように心を引き締めた!
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