第19話 職探し
家に戻って、食材を冷蔵庫にしまうと美空が声を掛けて来る。
「さぁ、始めるわよ!」
「うん…」
今から美空と一緒に、求人誌を見ての就職活動で有る。
座椅子は1つしか無いが、美空の分は魔法で用意して貰う。座椅子は日用品に入る見たいだが、美空が魔法を唱えると俺のより高そうな座椅子が出て来た!?
しかし、美空以外の人が座ると消えるらしい……残念!
「……あなたは以前、どこで働いていたの?」
「工場で現場作業をしていた。体を動かす仕事が中心だな…」
「じゃあ、現場系の仕事が良いわね……」
美空はそう言って、求人誌を開いて職業別の索引を調べている。
「工場・現場作業系なら何でも良いの?」
「何でもって事は無いけど、有る程度の休暇と給料は、やはり欲しい…」
「まぁ、それもそうね……。蟹工船じゃ有るまいし…」
美空は冷静な口調でそう言い、俺と一緒に求人を探す。
今まで散々、就職活動をしていたのだから見飽きている筈だが、何だか新鮮な感じもする。
「あっ、正輝!」
「ここはどう?」
「安定企業じゃないかしら!?」
美空はそう言って、有る求人欄を指さす。
「工場とは少し違うけど、公共プラントの維持管理業務」
「大手企業が運営しているから、将来性や給与も休暇も全て解決出来るよ!」
「あなたはまだ若いから、採用される確率は高いかも知れないわ!!」
美空は自分の手柄見たいに言うが、こう言った企業は競争率も激しいし、俺見たいに経歴に傷が有る人間は絶対に採用はされない。
詳細を見てみると、採用人数も
「美空……。条件は良いけど、色々と応募が大変そうだよ」
「俺、
「何、弱気に成っているの?」
「警察沙汰には成って無いのでしょ!」
「なら、大丈夫じゃない!!」
「自身持ちなさいよ!!」
普段の美空とは珍しく、強気の口調で言ってきた。
「美空はそう言うけど……美空がどれだけ、俺の就職活動を見ていたかは知らないが、ずっと就職活動をしていてこの結果だよ!」
「仮に応募したら、俺の就職活動の中では1番の大企業に成る。やるだけ無駄だよ!」
俺はうっかり美空に強く発言してしまうと……美空は冷淡な口調で言う。
「正輝…あなたの心臓止めて欲しい?」
思いっきり真顔で美空は言ってきた。
「えっ…えっ!?」
「美空。いきなり何を言い出すの!」
「正輝のそう言った行動が今まで全部、表に出て居たのでは無い?」
「やる前から諦めてどうするの?」
「生活を建て直したいと言っていたのは嘘?」
美空は冷静な口調で言う。
「嘘では無いけど……、PCは本当に無いし…」
「スマートフォンからでも応募は出来るよ! ほら見て!!」
その求人欄には※印が有って『スマートフォンからでも応募出来ます』と記して有る。
「挑戦出来るのに、何故しない!?」
美空は真剣な眼差しで俺を見てくる。
ここで断ったらどうなるのだろうか?
「えっと……そうだよ! 美空!!」
「俺の心臓を勝手に止めても良いのか!?」
「そうすると、俺の望みは叶えられなくなって、路頭に迷うのは美空だぞ!!」
すると美空は
「ふざけていると、本気で止めるぞ!」
「あんたは、何がしたい?」
俺は遂に美空の
「あの方から、あなたが暴走しだしたら、あなたの命を止めても良い事に成っている!」
「あなたは望みを叶えられず『自暴自棄』に成ったと、私が言えばお終いよ!」
「私のこんな簡単なお願いも聞けないのなら、私はあなたの生命活動を止める!」
「私を甘く見ないで!!」
美空はそう発言しながら、人差し指で俺の心臓部分に触れようとしてくる。
「ちょ、ちょっと、待って!」
「応募するから! 応募するから!!」
俺がそう言っているのに、美空は動作を止めない。俺は逃げようと思っても体が動かない!
まさか……、俺の体に魔法を掛けられた!!
「うぁ~~~~」
美空は俺の心臓部分に人差し指が触れるが……
「……あっ、あれ?」
「何も、起きない……」
すると、美空が『やれやれ』の顔をしながら、軽く息をつきながら言う。
「触れたって、私が魔法を唱えなければ発動はしないよ…」
「あっ…そうなんだ……」
俺は気が抜けて、座椅子に一気にもたれ掛ける。
「……私は本気だからね!」
「私の言う事が聞けないなら、今度は本当に魔法を唱える!!」
「正輝……。それがあなたの望んだ事だよ『私は、厳しいからね! 覚悟してよ!!』の言葉通りだよ!」
「これから、発言や言動には気を付けてね…」
「はいぃ、すいませんでした!!」
俺は平謝りをしてなんとか許して貰う。
俺は美空の言う通りに、公共プラントの維持管理業務の仕事に応募する。
苦労しながらも、エントリーシートを作成して応募を完了させる。
まず、エントリーシートで軽い選考が有って、基準に達していれば採用試験の案内or不採用の通知が来るらしい。
自分が望んだ事とは言えども、美空は見掛け以上に恐ろしい人だと再認識させられた!!
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