人形と暮らす生活。とても夢とは思えなかった!
小春かぜね
プロローグ
この物語はフィクションです。
設定、登場する人物、団体及び名称は一切関係有りません。
あの時は只の興味だった……
とあるショップに有る、ガチャガチャコーナー。比較的目立つ場所に設置されているので目に入りやすい。
そのショップには、沢山のガチャガチャの機械が設置されていた。
アニメ関連の商品や何かのシリーズ物、また実用性が全く無い物『誰が買うんだろう?』のガチャガチャまでも有った。
そして、その中でずっと気に成る商品が有った。
何かのアニメか、ゲームキャラクターのガチャガチャ。俺はそれに興味を引かれていた。
値段は100円では無く、1回300円もするガチャガチャだった。俺は高いと感じたが、機械の前面に張って有るチラシ内容を何時も眺めてしまう。
チラシを見ると、全部で5種類位有って、みんな可愛らしいキャラクターの置き人形だ。見るたびに俺の心をくすぐる……
全体的に幼く見えるキャラクターを買う恥ずかしさから、中々、買う勇気が出ず、眺めてはそのまま立ち去るを繰り返していた。
そのショップに行った時は、必ずガチャガチャコーナーに寄って、気に成るガチャガチャを眺める日が続いた……
☆
それから、半年位経ったある日。俺は何時もようにガチャガチャコーナーに立ち寄る。
そのガチャガチャは人気が無くなったのか、レア物が出てしまったのかが判らないが、有る時からほぼ底の状態から減らなくなっていた。
その日も当然、眺めるだけ終わるつもりだったが、何故か気付いたら財布から100円玉を探し始めていた。
ガチャガチャの残り状況から、その機械が撤去される危機感を感じた俺は、恥ずかしさよりも購入欲の方が勝ったのだろう。機械に100円玉を入れていた。
ガチャガチャのハンドルを
何が出て来るか分からないのに、300円のお金を使った事に一瞬後悔するが、気を取り直して、取り出し口からカプセルを取る。
カプセルは上部が半透明に成っており中身が見えるが、中身はどうやらバラバラの状態だ。自分で組み立てなければ成らないみたいだ。
何が出たかは良く判らないが、チラシを見る限り、レア物商品では無いことは確かだった……
リサイクルのためにも空に成ったカプセル容器は、回収箱に入れて中身を持ち帰る。
家に戻ったら早速、組み立てようと思った。
☆
俺は家に戻り、やるべき事をやって少し落ち着いてから、先ほどのガチャガチャの中身を組み立てる。
組み立てると言っても、パーツ化されているし接着剤もいらない。物の数分でパーツから人形に変わる。
人形を乗せる背景付きの土台も付いており見栄えも良い。
完成した人形を居間のテーブルの端に置く。
完成した人形は、幼稚園児位の女の子が、公園か広場で
素材はプラスチックだが、鋭角な部分が無い所為か陶器製の人形にも見えて、可愛らしい置き人形だった。
このテーブルは食事にも使っているので、装飾品は置かない方が良いが、何故かそこに置きたいと感じてしまった。
ちょこんと座っている、名前の知らない人形の頭を
すると何故か人形なのに体がピクンと動いた気がした。
俺は一瞬『えっ!?』と思ったが、人形が上手に土台に置けていなかったみたいだ。
置き直して、再び頭を撫でても人形は動くことは無かった……
いい年した大人が買う人形では決して無いが、男1人暮らしの殺風景な部屋に、こう言った小物が有っても言いかなと思った。さっきの人形に話し掛ける。
「これから、よろしくね!」
「……」
人形だから返事はするはずが無い!
これからテーブルの端で、有る程度の時間を過ごして、飽きたらゴミ箱に捨てるんだろうなと考える自分がいた……そう、その時までは……
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