春嵐

01

 崖が好きだった。

 好きなだけで、べつに崖のあるところに行きたいとかは思わない。なんとなくテレビとかラップトップとかに映る崖を眺める。それだけ。

 普通の日々に、崖は出てこない。わたしの日々に、崖という要素は一切ない。だから、なのかもしれない。崖を見る。崖を下から見上げる。崖から眺めの良い景色を見る。そういうのが、なんか、どうしようもなく、癒される。

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