第17話 安田さんと

土曜日に行ったのだけど、雨だった。

安田さんが住んでいる「アメニティ青池」(ほのぼの高校に使いました(^^;)

まで、迎えに行って。


赤いCR-X(2代目)で、浜名湖まで行った。


会社から観光バスで、浜名湖まで行くので

安田さんもそれに乗っていけばいいのだけど、なぜか、僕の

クルマで行きたいと言った。



安田さんは、それまではクルマの免許を持っていなくて


この湘南の支店に来た時に、伊豆の支店回りに便利だからと

免許を取って、クルマを買った。


白いブルーバードのセダンだったけど、釣り道具で一杯だった。

それで、支店回りのついでに釣りしてくる・・・と言う

のんびりした人だった。



助手席のロックを外してあるので、安田さんは

CR-Xに乗り込んできた。



「おお、低いなー」と、喜んでいる。



子供みたいにストレートに喜ぶので、僕も嬉しくなった。


この時、安田さん62歳かな。


本社で営業部長まで進んで、部下のミスを庇って

自分で部長を辞したと言う、男気のある人。

それだけに、部下の信頼も高かったし・・・・。


若い女の子の人気もあった。



マサエちゃんと仲が良くて、時々本社の別館、2階の

コミュニティスペースでお茶していたらしい。



それで・・・・この時。マサエちゃんの代わりに僕を誘った、と言う事だったと

アトで知った。



が、この時は何も知らない。




僕は、ワイアーのクラッチを、ポンとつないで

走り出す。



軽快。



安田さんはそれにも驚く「おお!」と。



CR-XはFFなので、前で引っ張る。


すいすいと加速するのはシビックと似ているけど

右・左と向きが変わる。



青信号の交差点にそのまま入り、ひゅ、と曲がる。




安田さんは「スポーツカーっていいね」と。にこにこ。



2+2、と言ってもほとんど2シーターのCR-Xだから、かもしれなかった。


バイパス道路を走って、東名高速のインターに登るつもりで走る。


雨が凄くて、モーターボートみたいに水しぶきを上げて進むCR-X。

不安定な感じはしない。



西へ、西へ。




カーステレオにはCDチェンジャーがつけてあって。


後ろのスピーカーは、プラスチックのコーンの純正品を

部品で取って、背面にグラスウールを詰めた。


古いTシャツに詰めたのだけど、このクルマを売るときに

外すのを忘れていて。



それを、とってももったいないと思った。

思い出がいっぱいあるから。



ステレオ本体は、ソニーのCDX-R88で

CDチェンジャーを付けて。


当時のソニーらしく、音を追求して

アンプを別に。シートの下とかに設置すると言う

凝ったものだった。


後ろのスピーカーはマトリックスにしてあって、乗ると

音に包まれる感じがとても良かった。




東名インターへの分岐点が雨で見えず、無理に曲がったら


大型トラックすれすれになって



安田さんは「危ねえ」と江戸弁になった(笑)。

下町のヒト。そのあたりも僕に近いのかなと思う。



でもCR-Xは、綺麗にカーブして

東名高速に清水インターから乗った。


なぜ、御殿場・沼津・富士を国道246・1号で行ったかと言うと

そのあたりはバイパスを走りたかったから。だし

空いてるから高速代をケチッタ(笑)のもある。


安田さんが出してくれたんだけど、結局。



そこからはひたすら、高速を100km/hで走って。

雨だったし、安田さんが乗ってるから飛ばすと怖いかなと思って

ゆっくり。



途中で牧の原だったか、サービスエリアに停まったけど。



クルマから降りて見下ろすと、安田さんは「低いなー」と、感想を改めて。



傘さして。



クルマは狭いけど(^^)。



出てきたのが午後3時で、その時5時。

結構かかるなぁと思った。




夜7時からパーティだったんだけど、間に合わないなと

この時思った。

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