第12話 復讐奢リベン、憎き豚女と再会する

~◆ビチの屋敷・女子トイレ◇~


「着いたぜ!!クソババアの屋敷!!」


 リベンはビチの館に無事(?)侵入すると、血まみれの体を起こし、ペキポキと拳を鳴らした。


「ウホッウホホホホッ…」


 ゴリラみたいな怪物はリベンの到達に怯え、近くにいた女性職員の後ろへ隠れた。


「わっ、こっちに来た」


「ウオオンッ」


 ゴリラみたいな怪物は女性職員を潤んだ瞳で見た。


 それを見た彼女はこう思った。


(きもっ)


 しかし、そうは思いつつも相手は存在自体がよくわからない生き物だ。


 人によってはキモカワイイデザインかもしれないが、彼女は受けつけなかった。


「さぁ、行け。ワニガメたちよ。骨も残すな」


 そう言うと、ワニガメたちはリベンを食い始めた。


 ガブガブガブガブガブガブッ!


「ぎゃああああああああああああ!!」


 肉と言う肉を食われたリベンはキャベツになった。


「野菜になった!!」


「くっ、流石は勇者パーティの一人が住まう屋敷!!このおれが一瞬にしてレタスになるとは!!」


「キャベツな」


 騒がしい男二人を見ていた女性職員は思わず冷やかにこう言った。


「いや、自分でなったでしょ…って言うか。あんたたちねぇ…ここ女子トイレ!!」


 彼女はそう言うと、二人の肩を掴み、思い切り外へ投げ飛ばした。


「出ていけぇええ!!」


「「ぎゃああああああああああああ!!」」


 リベンとロークスは一瞬にして外へ放り出された。


「酷いわ!!アタシ心は乙女なのに!!」


「いや、その見た目で女を言い張るのは無理あるだろ、おっさん!!オレは知らなかったんだけだ!まさか女子トイレなんて…」


「あっ、あそこから入ろうって言ったのこいつです」


 リベンはロークスを速攻で売った。


「ええっ!!オレのせい?」


 その一言で女性職員はにっこりと笑うと、彼らの頭の上に光の矢を形成した。


「げぇ、光属性」


 そのまま彼女は手を降ろすと、光の矢が彼らに降り注いだ。


「どっちみち一緒でしょうが!!シャイニングアロー!!」


「ぎゃああああああああああ!!」


 その光の矢は特にロークスの方に多めに降り注いだ。


「何でオレの方が多いの!?」


「…エッチな目であたしを見てたから」


 その一言でリベンがロークスを掴んだ。


「このドスケベがぁああああああああああああああああ!!」


 そして、そのままバッグドロップを決めた。


「冤罪だぁああああああああ!!」


 KO!!


 WINNER REVEN!!


「くににかえるんだな…おまえにもからあげがいるだろう…」


「は?」


 まるで意味が分からない一連の流れを見ていたフラムはおろおろとしながら、女性職員をこうなだめた。


「ご、ごめんね。騒がしくしちゃって…彼、ロークスも悪気があったわけじゃないの。怒らないで、ね?」


「オレのせい!?」


 その一言で少し落ち着いたのか、女性職員は攻撃をやめた。


「私はフラム。こっちにいる男の子がロークスで、こっちのおじさんがリベンさん。貴方は?」


「ルミエよ」


 フラムの穏やかな物言いにルミエと言う名の職員も少し照れくさそうに名乗った。


 ルミエは金色の長い髪をしたつり目で青い瞳の美女であり、フラムとは対極的にスレンダーな体形をしていた。


「あなたたち一体何者?」


 その言葉にリベンはこう答えた。


「ととととととととおりすがりですぅ!!」


「無理あんだろ、それ!!素直に元同僚に用事があるって言えよ!!」


 その言葉にルミエは目をぱちくりさせた。


「それって、ビチ…さんのこと?」


 ルミエの言葉でリベンはキャベツからリュックになった。


「何の騒ぎだ!!」


 騒ぎを聞きつけてか、男性職員«生»の一人«贄»がやってきた。


 その言葉にリベンの目が光った。


「キャー!!待っていたわ、タクミ!!」


「うおおおおおおおおおおお!!なんじゃあ、このおっさんは!?」


 職員が驚いていると、ゴリラみたいな怪物が彼の背後を取った。


 そして、彼の口にリンゴを詰め込みだした。


「ウゴゴっ!な、なぬんじゃこいつら」


「ウホウホウホホッ(こっちを見ろ!!くそおっさん!!)!!」


 だが、リベンは反応しない。


「ウホウホウホウホ(おれに金貨百枚寄越せ。さもなければ、このリンゴに火を点ける。そうなれば、人質は木端微塵だ)!!」


 そう言って、ゴリラみたいな怪物はリンゴに火を点けるそぶりを彼らに見せた。


 だが、彼らの注目は別に向けられていた。


「バナナナバナナナナ!!」


「な…やめろ!!」


 リベンは職員たちをバナナの植林に役立てようとしているバナナマンを阻止しようと必死だ。


 それを見ていたゴリラみたいな怪物は職員の口からリンゴを取り出した。


「ウホッ(なんやあれ?)」


「けほっ、知るかよ!!」


 バナナマンは大量のバナナを机の上に置くと、そこからムキムキの漢たちが湧いて出てきた。


「忠!!」


「職場が大変なことになってる!!」


 当然、騒ぎになったので警備兵がどんどんやってきた。


「何だ!!何の騒ぎだ!?」


「あっ、おれ法律なので大丈夫っす」


 リベンの言葉に警備兵はにこやかにこう返した。


「なーんだ。それなら仕方ないな。裁判なしの処刑で許してやるよ」


「おっ、君法律わかってんねぇ~」


 その一連のやり取りを見ていたルミエは思わずこう突っ込んだ。


「明らかに異常あるでしょうが!!何なのこれ!!あたしの頭がおかしくなったのかしら!?」


「大丈夫だよ、私も理解できないから…」


 二人娘が呆れている間にリベンは奥義を放った。


「行くぞ!!芭唖火保流二刀流奥義“現行犯抹殺”!!」


 その一言で無数の弓矢がバナナマンと漢たちに放たれた。


「ふんっ!!ちょこざいな!!」


「使えねぇ!!」


 リベンは勢いで警備兵たちを殴り飛ばした。


「ならば…」


「うん?オレ?」


「貸せ!!」


 リベンはロークスから傘を奪うと、それを机に刺した。


「新武器“報復の槌”!!」


「あっー!!オレの傘が!!」


「そして、そのままドーン!!」


 その鋭いスイングは無数に湧き出た漢たちを一撃で吹き飛ばした。


「強者!!」


 そして、漢たちは木端微塵に弾け飛んだ。


「ふっ、使えない奴らめ」


 しかし、バナナマンはNGワードを言ってしまった。


「誰が使えねぇじゃあああああああ!!」


 鋭い傘の先端がバナナマンの胴体を貫いた。


「ぐわあああああああああ!!くそ!チョコバナナチェンジ!!」


 バナナマンはチョコで空いてしまった体にチョコでふさいだ。


 しかし、


「長すぎ!!はよ、死ねぃいいいいいいいいいいいいい!!」


とバナナマンの体を粉砕した。


「馬鹿の相手も疲れるぜ」


 リベンはそれだけ言うと、茫然とする職員たちを放置して奥へ進んだ。


 ロークスはその途中である物が目に留まった。


 そう、散らかった机だ。


「あれは?」


「ああ、見られちゃったね」


 そう、ルミエの机だ。


 先ほど、ビチに荒らされたのだ。


「ちょっとね…色々あったんだよ」


 彼女は一言気まずそうに言うと、我に返った職員が恐る恐るルミエに声をかけた。


「ルミエちゃん?そいつらは…?」


「げっ」


 ルミエが奇怪«リベン»な集団«たち»と一緒に見るところを見られてしまった。


「ご、誤解です!!この娘はたまたま一緒に来ただけ…」


 フラムが弁明しようとしたが、もう遅い。


「アルティメットおでん!!」


 リベンが勢いよくビチがいる部屋の扉を破壊した。


 その中ではビチが海外旅行へ行く準備をしていた。


「は?何、何事なの!?」


 ビチは突然の事態に困惑した。


 そして、その犯人はすぐに姿を現した。


「久しぶりだな、豚ババア」


 かつて追い出したはずの男が姿を現したのだ。


 リベン・アヴェンジヤンが復讐にやってきたのだ。 

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