勇者パーティを追い出された学・職歴なしのおっさん。奴らに復讐の力で無双していると、やっぱ戻ってこいと言われましたが、嫌に決まってんだろう

唖魔餅

第1話 おっさん冒険者リベン、パーティから追放され、住所不定無職となる

 伝説のギルド「ブレイブリー・イグニート」、通称勇者パーティでは本日重々しい雰囲気であった。


 伝説の迷宮“レジェンド”の到達者たる十三人の戦士たちが一堂に会議室へ集まっていた。


 開口一番リーダー格のアレックスはパーティの一人である“リベン・アヴェンジャン”にこう告げた。


「リベン。今日限りでお前はこのパーティを抜けてもらう」


「な…何故だ…」


 リベンは十字架に海苔で貼り付けられ、血まみれになりながら、信じられなそうにこう答えた。


「今の自分の姿を見てみろ。それが答えだ」


「な…おれはさっき鋏を持った男に切り刻まれただけだ…」


 ちなみに実際はここに来る直前に転んでこうなったそうだ。


 彼がそう言うと、前肢を握り拳の状態にして地面を突くナックルウォーキングと呼ばれる四足歩行をしながら、彼に近づく何とも言えない顔立ちの手抜き感丸出しの化け物たちが彼を蠟燭で囲み始めた。


「後、その変なお前のペットもだ」


「な…おれはこいつらのことを知らないぞ?…早く助けてくれ!」


 怪物たちはリベンの悲痛な叫びを無視し、ウホウホと喜びながら、彼の口にトマトを押し込み始めた。


「ぐああああああああああああっ!」


 リベンはそのあまりのトマト率に口から吐血をするほどのダメージを受けた。


 アレックスはただその様子を白けた顔見るとこう言った。


「それ面白いって思っているのか?」


「いや、つまらない」


 その言葉にアレックスはため息を付くと、リベンにこう告げた。


「はっきり言おう、お前が使えないだ」


「な、なんだと…?」


 その言葉にリベンは雷に打たれたかのような感覚を受けた。


 それもそのはず、ゴリラみたいな怪物に雷をけつから注入されているからだ。


「そ、それはないだろ!このパーティでおれの実力が足りないことはわかっている!だけど、おれは三年もこのパーティを支えてきたから言えるが、他のみんなも同じことを言え…」


「それはてめぇが弱すぎるのがいけねぇんだよ、使えねぇ野郎が!」


 リベンが言い訳していると、パーティの一人であるバーバリアンのコザが大声でそう怒鳴った。


「んもう、何てこう言うのたかし♡駄目よ、そんな乱暴な言葉使っちゃダ・メ♡」


「えっ、何こいついきなり!きもっ!こっち来んな!!」


 急にオネェ化したリベンにドン引きするコザであったが、それを突然怪物たちがぬっとドン引きする彼の背後に現れた。


 がしっ!


 コザは化け物に羽交い締めにされた。


「ウホウホウホウホウホウホッ!!」

「ぬおっ、こいつらはリベンのペット共!畜生、てめぇこのおれを誰だと…」


「ウホッ(やれっ)」


「わかったー!必殺!“内臓キャノン”!」


 ドゴンッ!


 その音共に殴られた個所が思いっきり吹き飛んだ。


「ウホホッガフッ」


「えーっ!そっちいいいいいいいぃ!?」


 思いっきり腹部を殴られたゴリラみたいなのは血を吐いて倒れた。


「どうした!!見知らぬ化け物!誰にやられた!!」


「ウホッ…」


 怪物は弱弱しくリベンを指さした。


 それに気づいたリベンは。


「証拠隠滅!」


 ズギャンっ!


 リベンの攻撃で怪物は爆発四散した。


「コザ…」


「!?」


「お前は…見知らぬ人間を危害を加えるほどに…おれをこのパーティから追放したいがために誰かを『てめぇがこのパーティから出て行かねぇからこいつを殺した』と宣う程落ちたのか…?」


「いや、言ってねぇよ!!」


 リベンはコザの非道な行いに涙を流し、ギロリと彼を睨みつけた。


「ひろし…アタシとは遊びだったのね…」


「はぁ?いきなり何言ってんだ?」


 コザはリベンの言葉がまるで理解できなかった。


 理解できる方がおかしいが。


「酷いわ…あんたって男はあたしと言う男がいながら…」


「気持ち悪ぃな!何だ、とうとう頭イかれちまったのか」


 余裕そうに振る舞うコザであるが、内心では2mを越える筋肉竜骨の男であるリベンに怯えた。


 怯えるコザにリベンは涙を流しながら、包丁を取り出すと彼を目掛けて突進してきた。


「もう我慢の限界よ!あんたも殺してアタシも死ぬわ」


「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいうおいおいおいおいおいおいおい!お前何考えているんだよ!逆恨みか!?」


 当然、包丁を向けられたコザはパニックに陥いった。


 しかし、リベンは止まらなかった。


「騒がないで!あんたみたいな男死んで当然よ!のりあき!」


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ助けてくれえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」


「お命頂戴!」


 しかし、リベンの強行はある人物に防がれた。


 彼の動きを封じたのは、このパーティのリーダーであるアレックスだ。


「“タイムストップ”」


 勇者たる彼はありとあらゆる魔術精通しており、暴れるリベンの動きを封じた。


 動きを止められたリベンは一瞬止まらないか迷ったが、結局止まらなかった。


「なんだよ…結構当たんじゃねぇかよ…」


 タイムストップの魔術を受けた彼は全身から血が大量に流れた。


「えっ、タイムストップは動きを止める魔術のはずだが…何故だ?」


 困惑するアレックスににやりと笑うと、リベンは外へ向かって歩き出した。


「何て顔しやがる…アレックス…!?」


「は?いやいや、止まれよ。時間停止の魔術を食らったんだからさ」


 だが、彼は止まらなかった。


「わかっている。お前らが先に進むためにおれはこのパーティを出ていく。お前らが立ち止まらない限り、その先におれはいるぞ!」


 彼はそう叫ぶと、その場に倒れ込んだ。


「だからよぉ…止まるんじゃねぇぞ」


 彼は意識を失う直前に人差し指で「幼いころから書を読み、権力者になることに憧れて、虎が獲物を待ち伏せするように草原で身を構え、無能者の烙印を押され、パーティを追放された。いつか奴らをぎゃふんと言わせてやる。我が身は未だに流浪の身なれど、望む時が来たならば、かのイエロー・ネストのように恨みを晴らしてやると僕は思いました。リベン・アヴェンジヤン」と書くと、そのまま彼は絶命した。


「ウホッ」


 しかし、通りかかった怪物が彼の魂を掴むと、そのまま肉体に戻して蘇生した。


 そして、彼の体を持つと、近くのゴミ捨て場に捨てた。


~◆リベン・アヴェンジヤンと言う男◇~


 リベン・アヴェンジヤンと言う男の人生を一言で言うと、カオスであった。


 彼が一歳の時にその辺の培養液で付け込まれた。


 これによって、彼は気が狂った。


 山菜の時に農家に収穫されたと思い込んでおり、その際に権力者になるために冒険者になることを志した。


 人気の冒険者になれば、お金が大量稼げると思ったからだ。


 嘘である。実際のところはモテモテハーレムを築きたいと思ったからだ。


 そして、彼が三十五歳の時に冒険者の街“ザギグ”にやってきた。


 そこで彼は当時駆け出しの冒険者であり、選ばれし勇者の一人であったアレックスの元にパーティの仲間入りした。


 当時の彼に可能性を感じたリベンはアレックスにパーティに仲間入りをした。


 当初は「気持ち悪い」と嫌がられただが、人手不足と言うことで荷物持ちとして。


 しかし、不死身に近い肉体を持ち、二本の刀で暴れ狂う彼はパーティの誰よりも強かった。


 にも関わらず、彼は役立たずと毎日言われながらも、三年間パーティに尽くし、難関と言われた“レジェンド”の最深部に仲間たちと共に到達したのだ。


 大きな偉業を遂げた彼らはその日、世界中の国王から表彰されるはずだった。


 しかし、この日彼らにパーティから追い出された。


 彼は大きな偉業を成し遂げたと言うのに、信じていた仲間に追い出されたのだ。


――これからどうすんだ…おれ


 所持金はパーティの財産と名目で全額取られてしまい、怪物たちに装備品を全てはぎ取られ、全裸でゴミ捨て場に置かれた彼はこう思ってしまった。


――畜生、奴らが憎い…


 復讐心に燃える彼はゴミ捨て場から全裸で起き上がると、辺りを見渡した。


「ウホオオオッウホホホォォォォ…」


 突然起き上がったリベンにゴリラみたいな怪物は恐れをなした。


 蘇らせたのは、こいつらである。


「よし、決まりだな」


 彼は一言呟くと、こう続けた。


「今夜のおかずはあいつらだな」


 そう言うと、彼は頭からかつて自分の仲間たちのちょっといいな、と思った記憶を取り出し、それをドレッシングをかけて食べた。


 まずい。


 彼らとの思い出を食べ、腹がふくれた彼はその場から立ち上がった。。


「まずは力貯めるの修行先決だな…奴らへの復讐のために」


 彼はそう言うと、どこかへ歩き出した。


 その体には彼らを憎む日に日に募ったエネルギーは復讐の業火が宿り、スキル【復讐】の力に目覚めていた。


 これがリベン・アヴェンジヤンと言う男物語の始まりである。

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