親だから、親なのに…
ふふふのふ
1
「妊娠したかもしれない」
それは交際半年を記念して旅行していた最中の出来事。
楽しくご飯を…と思っていたのに気持ちが悪い。
祐也は「楽しくない?違うお店にすれば良かったかな…」と悲しそうな顔をしていた。
本当は楽しい。大好物のお寿司を目の前に「これって妊娠かもしれない。でも今祐也に言ったら楽しめなくなるかもしれない。」陽花は不安を隠し食べ続ける事に必死だった。
体調は落ち着き、旅行を楽しむことが出来た。
帰り道「夜ご飯、ファミレスにしよう! その方が地元に帰ってきた感ない?!」
祐也の少年のような無邪気な顔にほっとする。
ここは安くて美味しい人気のチェーン店。
お互い出会う前から好きな店だ。
いつものメニューを頼み、いつものように食べ始める…
「あれ。美味しくない。 それどころか気持ち悪くなってきた…」旅行中の体調不良を思い出し隠していた不安が見抜かれる。
「陽花?さっきから一言も喋れないし、どうしたの? 旅行…楽しくなった?次は陽花が行きたいところに行こう!」
「そうじゃないの。祐也が選んでくれた場所、全部楽しかった。お店も宿も好みばっかり。楽しかったのに…」
このままでは祐也を傷つけるかもしれない。机の下で握りしめた拳を見つめ、覚悟を決めた。
「陽花?言いたくないならこれ以上聞かない。でも力になれるなら教えて欲しい。」
「祐也… 私 妊娠したのかもしれない。」
交際半年。お互い結婚を意識していた。
「いつか子供が産まれたら」なんて妄想で浮かれていたのに。
二人は喜びと不安で不気味な顔をしていた。
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