第47話 初めての揚げ物 その2

 そして、土曜日……


 今日の晩ご飯は、約束通り唐揚げの日。

 鶏のもも肉を一口大に切り分けて行き、ショウガ・ニンニク・醤油・みりん等のタレに漬け込んでおく。

 つけ込んでいる間にサラダを作ったり、他の仕事をこなして行く。


「恵那!」

「マカロニ茹で上がったから、もう湯から上げちゃって良いの?」


「うん。お願い!」


 今日はお姉ちゃんと一緒に作っているから、何時もより手際よく進んでいく。

 お姉ちゃんは、お皿とかの準備は普段からしてくれるけど、料理作りには積極的には入らない。


 サラダ等の副菜も完成し、いよいよ鶏肉を揚げる時が来た!

 お姉ちゃんが見守る中、サラダ油をフライパンに注いでいき油を温める。


「恵那。焦らなくても良いからね…」


「大丈夫だよ、お姉ちゃん!」

「ちゃんと唐揚げの揚げ方、予習しといたし!!」


 お姉ちゃんの不安の眼差しの中、油の温度が上がるのも待つ。

 菜箸を時々入れて油の状態を見る。

 温度が低い時は菜箸を入れてもそのままだが、適温に為ってくると、菜箸から泡が出てくる。


 菜箸から泡が出てくるのを確認してから、私は衣を付けた鶏肉を入れ始める。


『ジュワ~~!! パチパチパチ―――♪』


 盛大な揚げ物音共に、油が周りに飛び散る!!


「熱っ!!」


「恵那!大丈夫!!」


 飛び散った油が、私の腕を襲う!


「うん、大丈夫…。思ったより、油飛び散るね…!」


「恵那が火傷していなければ良いけど、料理が出来ないお姉ちゃんでごめんね…」

「本来は私が率先して、こう言った事はしなければ成らないのに…」


「そんなの気にしてないよ。私は平気だから!」

「あっ、お姉ちゃん。お皿に油取りの紙、引いてくれないかな?」

「後、ご飯の盛りつけもお願い!」


「ありがと、恵那…。じゃあ、そっちの方やっておくね」


「うん。お願い!」


 私は飛び跳ねる油と格闘しながら、鶏肉をひっくり返し揚げていく。

 鶏肉全体がキツネ色と成った所で、お姉ちゃんが用意してくれたお皿に唐揚げを盛りつけていく……


「出来た!!」


 大皿に盛りつけた出来たて、ほやほや唐揚げをテーブルに持って行く。

 テーブルには、唐揚げを待つばかりの状態に成っている。


「お姉ちゃん!」

「初めてだけど、上手に出来た!!」


 出来たての唐揚げが乗ったお皿をお姉ちゃんに見せる。


「わぁ~、美味しいそう♪」

「本当。上手に出来たわね。恵那!」


 出来たての唐揚げを楽しむため早速、晩ご飯の開始!

 お姉ちゃんと『いただきます!』をして2人共、早速唐揚げを箸で掴む!

 口に含むと心地よい歯触りと、熱い肉汁が口一杯に広がる♪


「う~ん、熱くて美味しい!!」

「唐揚げは出来たてが一番美味しいね。お姉ちゃん!」


「恵那!」

「味もお母さんが作ってくれたのと同じだよ!!」

「揚げ方もバッチリだし、恵那は本当に料理上手ね♪」


 ベタ褒めをしてくれる、お姉ちゃん。


(買ってくるのも悪くは無いけど、家で揚げるのが一番美味しいかもしれないな!)


「ねぇ、お姉ちゃん。これからも揚げ物作っても良い?」


「もちろん良いわよ!」

「だけど、お姉ちゃんが居る時だけにしてね!」


「はーい!」

「今度はね、天ぷらに挑戦してみたいの!」


「恵那は天ぷらまで、揚げちゃうか!」

「美味しいの楽しみにしてるね!」


「うん!」


 ……


 初めての揚げ物。

 思ったより上手に出来て、嬉しかったし、楽しかった。

 お母さん達が帰ってきた時は、私が作った揚げ物を是非、食べて欲しいなと思った。

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