第42話 すき焼き大戦争 その2

 私は音羽ちゃん達と思いながら、玄関に向かいドアを開ける。


『ガチャ!』


「こんばんは。恵那ちゃん!」


「いらっしゃい。音羽ちゃん!!」


 相手は音羽ちゃんだった!

 あいさつをして、家の中に招き入れる。


「……木華はもう来てる?」


「ううん、まだだよ!」


「そう。食いしん坊の木華だから、もう来ているかと思った!」


 そんな会話をしつつ、お姉ちゃんの居るリビングに音羽ちゃんを通す。


「こんばんは。お姉さん!」


「いらっしゃい、音羽ちゃん。外寒かったでしょう!」


「えぇ、でも…、お向かいですから、そんなには―――」


 大人みたいな会話をしている、お姉ちゃんと音羽ちゃん。

 私はまだやる事が有るし、台所に戻ろうかなと思った時、再び玄関のチャイムが鳴る。


「あっ、きっと木華ちゃんだ。私、出てくるね!」


「お願いね、恵那!」


 お姉ちゃんからもお願いされて、私は玄関のドアを開けると、見慣れた姿が居た。


「こんばんは、恵那ちゃん!」


「いらっしゃい、木華ちゃん!」


「……本日は、お招き有り難う御座います」


「?」


 何時もの木華ちゃんらしく無い、言葉が耳に入ってきた!


「どうしたの、木華ちゃん…。急にかしこまって」


「んっ、何が…?」


 木華ちゃんは“きょとん”とする。


「いや、凄い丁寧だったから……」


「えっ、お呼ばれした時は、こう言うんじゃ無かったの!?」


 木華ちゃんは声のトーンを上げるが、私にそんな、あいさつをされても対応に困る。


「えっと……間違ってはないけど、そんな堅苦しいあいさつは、私の前ではいらないよ!」


「え~~、せっかく、練習したのに!」


 木華ちゃんは、少しがっかりしていた。

 すると、木華ちゃんはを言い始めた。


「お姉ちゃんがさ『夕食に招待されたのだから、恵那ちゃん家にきちんとあいさつをしなさいね!』と言われたから、どうやってあいさつしたら良いのとお兄ちゃんに聞いたから、そう言うと聞いたから、言ったのにな~~」


 どうやら、木華ちゃんのお兄さん(親戚)は、大人用(?)のあいさつを教えてくれたらしい?


「じゃあ、それは私じゃなく、お姉ちゃんにする、あいさつじゃないかな?」

「お姉ちゃん、私の親代わりだし!!」


「そうなの!!」


 木華ちゃんは嬉しそうに聞いてきた。


「たぶん、そう…」


「じゃあ、恵那ちゃんのお姉さんに言おう!」


 何時もの状態に戻った木華ちゃん。私は木華ちゃんを招き入れる。

 木華ちゃんをリビングに通すと、お姉ちゃんに先ほどしたあいさつをしており『木華ちゃん偉いね~~』と、お姉ちゃんは木華ちゃんを褒めていた。


 私はそれを横目で見て、台所で準備を再開すると、音羽ちゃんが台所に入ってきた。


「恵那ちゃん。私にも何か手伝えること有る?」


「あっ、音羽ちゃん。ありがとう!」

「え~とね、小鉢を並べてくれる?」


「うん、分かった!」


 音羽ちゃんが小鉢を並べ始めると、今度は木華ちゃんも、台所にやって来た。


「恵那ちゃん。私(木華)も、何か手伝えること有る?」


「木華ちゃんも、ありがとう~~」

「じゃあ、木華ちゃんは戸棚に入っている、箸とコップを4人分出してくれる?」


「4人分ね。出しておく~~」


 大した量では無いが3人で、すき焼きの準備を進める。


 ……


 準備も終わり、お姉ちゃんを台所に呼んで、すき焼きパーティの始まりだ!

 私の家には、すき焼き鍋は無いのでフライパンで作る。

 牛脂を引き、懸賞で当たった、すき焼き肉を焼き、ある程度焼けたら砂糖・醤油を入れて味を調え、白菜・椎茸・焼き豆腐等の具材を入れていく……


『グツグツ♪』と、美味しそうな音がフライパンから私達に響く♪

 フライパンの中で煮込まれる、美味しそうなをみんな笑顔で見ていた。

 いよいよ、すき焼きパーティーの始まりだ!

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