第27話 お見舞い その1

『新型インフルエンザが各地域で猛威を振るっており、○○県でもインフルエンザ警報が発表されています。○○県内での発生状況は……』


「結構、流行っている見たいだね…」


 お姉ちゃんはテレビニュースを見ながら呟く。

 夜の団らんの時間。私も一緒にニュースを見ている。


「恵那の学校はどう?」


「んっ、何が…?」


「インフルエンザよ!」

「さっき、ニュースでも言っていたじゃない!!」


「あぁ、インフルエンザ!」

「私のクラスでは、そんなに休んでいる子は居ないけど、低学年の子達は結構多いみたい」


「そっか~。やっぱり…、流行っているのね」


「お姉ちゃんの学校は?」


「お姉ちゃんの所も多いね…」

「講義の先生がインフルエンザに掛かって、休講になった時も有るし…」


「ふ~ん」


(今年は結構、流行しているのだな)


「恵那も気を付けなさいね!」


「うん!」

「お姉ちゃんもね!!」


「ありがと。恵那!」


 ……


 今日も何時通り、音羽ちゃんと学校に向かう。

 何時もの曲がり角には、木華ちゃんが待っている筈なんだけど……


「あれ、木華ちゃん居ないね?」


「うん、居ないや!」


 木華ちゃんと一緒に学校に行くように成ってから、一度も遅れたこと無かったのに……


「今日は、お休みかな。木華ちゃん?」


 私がそう呟くと……


「え~~。あの木華に限ってそんな事無いって!」

「元気の塊見たいな子が!!」


「なら、少し待ってみようか。音羽ちゃん?」


「そだね!」


 しばらく、音羽ちゃんと2人で待つ。

 時間は充分有るから大丈夫だけど、何時までも待っては居られないと思った。


 木華ちゃんを待ち始めてから、5分ぐらい経過した頃。

 向かいの道路から、少し小走りで走って来る人がいる。

 小走りで走って来た人は私達の前で止まり、こちらを見て話し掛け始めた。


「えっと……あなた達が、恵那ちゃんと音羽ちゃん?」


 その人は私達より上級生の女子で有り、私達の名前を知っている。

 もしかして……


「はい? そうですが……」


 私がそう、返事をすると……


「あっ、私。木華の姉の篠立楓しのだちかえでと言います」

「どうも、初めまして!」


「あっ、初めまして!」


「初めまして!」


 私と音羽ちゃんは、上級生の女子に挨拶をする。

 やっぱり、その人は木華ちゃんのお姉さんだった。


「今日、木華。学校をお休みするのだけど、恵那ちゃん達に連絡してないと聞いたから、伝えに来たの」


「えっ……木華が、あっ、いや、木華ちゃんがお休みなんですか!」


 流石に、木華ちゃんのお姉さんの前で、呼び捨ては不味いと思った音羽ちゃんは言い直す。


「ええ、そうなの」


「もしかして、インフルエンザですか…?」


 私は、恐る恐る聞いてみる


 そうすると、木華ちゃんのお姉さんは、ため息をついてから話し出す。


「大丈夫よ…。只の食べ過ぎだから……」


「なんだ~、食べ過ぎか!」

「木華ちゃんらしいや!!」


 音羽ちゃんは呆れ顔に成って言う。


「昨日の晩ご飯。何時も以上に食べているから注意はしたのだけど、やっぱりお腹を壊してしまって…。それで今日は休ませる事にしたの」


(良かった。……悪い病気じゃ無くて)


 私は心の中で安心した。


「うっと、伝える事はそれだけ」

「これからも木華の事よろしくね。恵那ちゃん、音羽ちゃん!」


「あっ、いえ。はい……」


 木華ちゃんのお姉さんは用件を伝えると、そのまま学校に向かってしまった。

 悪い病気で無くては良かったけど、木華ちゃんは腹痛でお休みか~~。

 やっぱり、食べ過ぎは駄目だね!

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