第21話 今の日常!

 学校に行く時間が来たので、私はお姉ちゃんに『行ってきます』を言ってから家を出る。

 家の門の所で、お向かいに住んでいる、朝来音羽あさごおとわちゃんが、待っている。朝は一緒に通学している。


「おはよう。音羽ちゃん!」


「うん、おはよう。恵那ちゃん!!」


 音羽ちゃんは昔からの友達だ!

 途中、篠立木華しのだちこのはちゃんと合流して、3人で学校に向かう。


 木華ちゃんは、学年の途中から転校してきた子で、お姉ちゃんと親戚の人の3人で暮らしている。

 木華ちゃんの両親は、交通事故で亡くなってしまって、そして親戚の人に引き取られて暮らしている。


 音羽ちゃんと昨日のテレビの事とか今日の授業など、雑談しながら歩いていると、有る曲がり角の所で、木華ちゃんで待っていてくれる。


「おっはよ~! 恵那ちゃん、音羽ちゃん!!」


 元気一杯のあいさつをする木華ちゃん。

 私達もあいさつする。


「おはよう、木華ちゃん」


「おはよ。朝から元気だね……木華ちゃんは…」


 私は普通にあいさつするが、音羽ちゃんはそう言う。

 何か、気に入らない部分でも有ったのかな?


「うん。今日も元気だよ!」

「朝ご飯、たっくさん食べたもんね!!」


「そっ、そう……」


 音羽ちゃんは私の方に顔を向けて、苦笑いの表情を見せたが、少しあきれた顔をしていた……


「元気一杯なら、今日の勉強も頑張ろうね。木華ちゃん!」


「うっ、うん。頑張る。頑張れると思う……恵那ちゃん」


 私の“勉強”と言う言葉で、木華ちゃんの元気が、少し無くなってしまったみたい。


「ねえ、早くしないと遅刻するよ……」


 音羽ちゃんにそう言われて“はっ”と気づく。

 何時の間にか、立ち止まって喋っていたみたい。

 すこし早足で、私達は学校に向けて歩き出した。


 ……


 遅刻せずに学校に着いて、木華ちゃんは隣のクラスだから学年の教室で別れる。

 木華ちゃんがこの学校に転校してきて、おまけに隣のクラスなのに友達になれたのは、スーパーの醤油がきっかけで友達になれた。


 私の友達の中で木華ちゃんは、音羽ちゃんに続く大事な友達になっていた。

 お互い姉妹がいて家事をしているのが、私の心に触れたのかも知れない。


 ☆


 学校の授業も順調良く進んで行き、問題なく学校の1日が終わる。

 今日はスーパーに買い物行きたいから、音羽ちゃんに断って先に教室を出る。

 教室を出て、昇降口に向けて歩いていると、後ろから声を掛けながら、走ってくる子がいた。


「恵那ちゃん~~」


 その声は木華ちゃんの声だった。

 私は立ち止まり、木華ちゃんが側に来るまで待つ。


「木華ちゃん。どうしたの?」


「恵那ちゃん。一緒に帰ろう!」


「うん!」


 私は笑顔で返事をして、木華ちゃんと一緒に帰る。

 今日の出来事をお互い喋りながら、通学路を歩く。


「ねえ、恵那ちゃん。今日って、何か用事有る?」


 木華ちゃんが私の用事を聞いてくる。


「うん。今日はね、買い物行く日!」


「そっか~~、買い物か~~」


 木華ちゃんは残念そうに言う。


「用事が無かったら、恵那ちゃんと遊ぼうかな~と思ったけど……」


 木華ちゃんは、私と遊びたかった様だ。

 今日の買い物は時間が掛かる買い物では無いので、時間の融通は多少効く。


「……私、遊べるよ!」


「えっ、でも恵那ちゃん。買い物有るんでしょ!?」


 木華ちゃんは、当然驚きながら言うが……


「今日は、そんなに沢山買い物しないから遊べるよ!」


「本当!! じゃあ、遊ぼう。恵那ちゃん!」


「うん、遊ぼう!」

「木華ちゃん!!」


 木華ちゃんと遊ぶ約束を決め、そして何時もの場所で別れる。

 買い物の時間が来るまで、木華ちゃんの家にお邪魔して、その後、買い物して家に帰るのが私の予定。

 私は家に帰って、お米を研いでから、木華ちゃんの家に出掛けるので有った。


 ……


 木華ちゃんとボードゲームをしたり、漫画を読んだりして、時間が来るまで遊んで、その後はスーパーで買い物をしてから家に帰る。


 今日の晩ご飯は、朝の約束通り栗ご飯!!

 おかずは、惣菜のかき揚げが30%引きになっていたので、かき揚げとお吸い物と漬け物。おかずは、ちょっと手抜き!


 お姉ちゃんは『美味しい、美味しい!』と言ってくれて、栗ご飯、お茶碗3杯も食べてくれた。私も、お茶碗2杯食べた。

 お姉ちゃんは『明日、体重計に乗るのが恐いな…』と言っていた。


 晩ご飯を食べた後は、お姉ちゃんと一緒に洗い物をして、今日の家事を終える。

 私の家の庭からは、虫たちの演奏会が始まっており、心地よい音色が部屋に入ってくる。


 私は、お姉ちゃんと2人で暮らすようになってから、寝る前に日記を付けている。

 日記を付け始めた内は、心の“もやもや”を文字にして、“もやもや”をごまかす為に日記を付けていたが、何時の間にか普通の日記になっており、読み返しても、楽しい思い出と感じ取れるようになっていた。


(最初の方は無理だけど……)


 この生活が後、どれ位続くか判らないけど、楽しく暮らして行きたいなと私は感じ、今日の日記を書き終える。


『明日も楽しい日で有りますように……。おやすみなさい…!』

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