第12話 もうすぐ夏休み

 季節も7月に入り、後少しもすれば1学期も終了で有る。

 晩ご飯の時間。お姉ちゃんが私に話し掛けてくる。


「恵那……」


「何、お姉ちゃん」


「実はね……。お父さん達、お盆には帰って来られないと連絡貰ったの…」


「そうなんだ……」


 私が普通の返事をすると……


「あれ?」

「以外に反応薄いね……」


「だって、海外にお盆休みは無いでしょ!」


「そりゃあ、そうだけど……恵那は、寂しくないの?」


 お姉ちゃんはそう聞いてくるが……


「寂しいと言えば、寂しいけど……この生活も大分慣れてきたし、お母さんも居ないから気楽かなと思って……」


 お母さんは少し小言が多いが、お姉ちゃんは私に怒る事は殆ど無い。

 でも、積極性は弱い……出来れば、もう少し家事を手伝って欲しい所だが……


「……お姉ちゃんは寂しいの?」


「わっ、私!?」

「恵那が居るから、寂しいとかの感情は湧かないけど、行政の手続きとかは、私が代行しなければ成らないのが色々とね……」


 お父さんやお母さんは海外に居るから、私達の生活に関する、国内の色々の手続きや処理は、全部お姉ちゃんが行わなければ成らない……

 住県民税や公共料金等は口座振替こうざふりかえにして有るので問題ないが、何か有った時はお姉ちゃんが対応しなければならない。


「今の所は大丈夫だけど、何時帰ってくるんだろうね?」


 お姉ちゃんはそう言う。

 お父さんの海外赴任の期間は早ければ半年。遅いと数年にも成ると言っていた。

 期間が判らないからこそ、お父さんやお母さんは、私を一緒に連れて行きたがっていた。


いくら何でも、1度はクリスマスに帰って来るでしょ!」

「海外では、クリスマスを凄く重点的に見ているし!!」


 私がそう答えると、お姉ちゃんは安心した表情で言う。


「……恵那も成長したわね」

「普通の子なら『早く帰ってきて~(T-T)』と言うはずだよ」


「……私は見知らぬ場所に行くより、音羽ちゃんや新しく出来た友達の木華ちゃんと居る方が楽しいから!」


「……まぁ、恵那が今の生活を楽しんでいるなら、それで良いわ」

「夏休みも、もうすぐ入るけど、そうすると今年は2人だね」


「そうなるね!」


「私はアルバイトが有るし、恵那も音羽ちゃん達が居るから、変な心配はしなくても良さそうだね……」


「うん!」

「お姉ちゃんが居ない時でも、留守番は大丈夫だし、音羽ちゃんの家にはおばさんや音羽ちゃんが居るから問題ないよ!」


 私は自信満々の声で言う。

 お姉ちゃんが居ない時に不安の事が起きたら、音羽ちゃんの家に相談に行けば良い。


「話しはそんな所……」

「私もしっかりと稼げそうだわ!」


「恵那も夏休み中は留守番が多くなるから、音羽ちゃんが居るからと言って気を抜かないでね」


「任せといて!」


 お盆の時期に両親が海外から帰って来ないのは少し残念だが、お仕事だから仕方が無い。

 夏休み中も家事に追われると思うけど、学校がない分少しは気楽かなと感じる私で有った……

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