神様と悪魔のコレクション

みんな、誤解しているよ。

実は神様と悪魔は、仲良しなんだ。

毎日のように会って、いろんなお話したり、人間ウォッチングしたり、お出かけしたりしてるんだ。

もう一つ。神様も悪魔も、実は人間に対する影響力は小さい。

神様は、元々、努力して成功しそうな人とかに、ほんの少し幸運をトッピングする程度。

悪魔も、元々、不幸なことが起きそうなときに、ほんの少し不運をトッピングする程度なんだ。


今日は、恒例のコレクション自慢のようだよ。

神様は、人間の笑顔の写真を集めている。

悪魔は逆に悲しい顔の写真を集めて、質と量を競っているんだ。


神様「どうだい。これは、とってもいい笑顔でしょ。好きな彼からプロポーズを受けた女性の笑顔だ。美しいし眩しい笑顔だ。」

悪魔「私のコレクションも見てくれよ。これこそ、絶望の淵にいる顔だ。野球の試合で負けて、その負けた原因から親友にひどいことを言ってしまい、後悔して夜眠れない少年の悲しい顔。そして、こっちがその親友の悔しくて泣いている顔だ。どちらもすばらしいだろう。」

お互いに写真を見せあって、自慢している。

人間には理解できない感情だよね。


でも、神様にも悪魔にも、自分の力が及ばないことには、興味がないみたい。

例えば、神様は「宝くじが当たって喜んでいる人」のことは、「当たり前すぎてつまらない」とか、悪魔も「災害で親を亡くした子供の悲しい顔」のことは、「趣味じゃない」とか言って、興味を示さないんだ。


それと、神様も悪魔も口には出さないけど、やっていることがある。

神様も悪魔も、幸運も不運もずっと続かないことを知っている。

だから、お互いのコレクションに出てきた人間に対して、今度は逆のことを働きかけるんだ。

そうすると、神様や悪魔にとって、更にうれしいコレクションが増えたりする。


さて。今回のコレクション自慢だけど、悪魔のほうが優勢みたい。

今、世の中が不安定だからね。

質も量も悪魔の悲しい顔の写真コレクションのほうが勝っていたようだ。

神様「今回は、私の負けだね」

悪魔「ふっふっふっ」

パシャリ。悪魔「?!」

神様「今、私の最高のコレクションがとれたよ。悪魔が勝利で喜んでいる顔だ♪」

悪魔「神様には、かなわねなぁ」


おわり

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