05.13.記念日
追加の契約もスムーズに行われ、
本来なら第六条により最低でも週に二時間は二人きりの時間を持てるはずなのだが、新たな家具の購入やベランダ経由での通路構築の為に時間を取られ、思うように行かない日々が続いていた。
その事に特に不満を感じていたのは、
「第六条はどうなってるのよっ、私との時間が全然ないじゃない!」
「
まあ落ち着けと
「そうだけど、私は……」
「……そうだった。
「嫌よ、そんなの……」
「ふむ……、
「うえっ、いきなり三人で?」
自分には無理だとちょっと引いてしまう
「まあ、
「あたいなんか無理やりヤられちまったんだぜ? 15ん時だったかな。しかも相手は
「……」
開き直った態度に返す言葉が見つからない。
「私は確か16の時だったか……、いや、17だったかもしれない。相手は……」
「
「だったらクリスマス・イヴなんてどうだ? もう少し我慢することになるけどよ」
「あー、そこはダメだ。私の誕生日だからな」
「第七条、誕生日の嫁は
ディズニーシーで過ごした一日だ。本来ならその夜に済ませているはずだったのだが、よりによってそれを邪魔した張本人に又もや阻まれてしまう。
「なんて日に生まれてるのよ、
「あたいは元旦だかんな。年明け一発目はあたいが貰う!」
先程の余裕はここから来ているのかもしれない。毎年、年の始めに
「
「えっ? 七夕だって言ってませんでしたっけ? 三人揃って七夕なんだって喜んでたじゃないですか」
「それは……」
一緒に暮らし始めた頃、確かにそんな事があったのだが、すっかり忘れてしまっていた
「嘘だったんですね?」
可愛い嘘に本気で怒っているようだ。
「うう……」
「
「それは……、そうですけど……。そうですね、織姫は私だけだったのですから寧ろ喜ぶべきことなのですね。ね~彦星様♪」
「何それ、誕生日一緒とか羨ましすぎるし。
「成人の日、大人になった思い出に」
「成人はまだ先だし、毎年同じ日じゃないから微妙だし」
「なら建国記念の日、2月11日で毎年同じ。それに、
「いろいろ違うからね、
そんな日を祝日にされて堪るものか。
「ああ、神武天皇の即位日だな。習わなかったか?」
「知ってる
「
「残念、先約が居た。……となると、3月14日」
「ずっとさ先じゃない……」
「じゃあそこでしてくるか?」
「何なら動画に残してやろうか?」
「しないわよっ!!」
「まあまあ、通路が完成すれば落ち着くから。そしたらちゃんと二人の時間もつくれるんじゃないかな……」
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
「ねえ、
「まあね。大学行くことにしたんだ。
「同じって……」
「あずっちじゃ無理だろ。今更内申稼いだ所で遅いんじゃないのか?」
「大丈夫よ。今
「えっ、あの最低男、意外と頭いいんだ」
「私の旦那なんだけど?」
「今からでも遅くないから止めなって。こっちの世界にもどっておいでよ」
「いいな……」
「
「えっ、違うの。そういう事じゃなくて、
羨望の眼差しが
「じゃ、じゃあ……、うち来る?」
「いいの?」
「も、勿論」
そんな目で見られたら断れない。
「まった、今うちって言わなかったか?
「そうだけど。一緒に暮らしてるから」
「「一緒にっ!!!」」
「えっ……」
結局、
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