筆を走らせろ!
きつねのなにか
第1話 時間が無い! ここは禁じ手を使うしか無い! という文章。
筆を走らせるという言葉がある。
大体の意味は文章を書くという意味だが前置詞をつけることで様々表現を表せることが出来る。
今の私だと「急いで筆を走らせたい」だろうか。
とにかく文章を書きたいという意味合いである。
なぜか。今は三月十二日の午前二時半、KAC2021での二個目の締め切りまで十時間しか無いからだ。
とにかく書く。書いて文字を埋めていくしか無い。
何でも良いから書く。書いて書いて書きまくれ。
日本語の文章は同音なのに意味合いが違うという表現がたくさんある。
最近書いた文章だと、「かくとかくの違い」で青春物語の文章を書いた。
書くと、描く。どちらも「かく」と読める。描くの方は「えがく」と表現することも出来るので、文章にするときは確実に「かく」と読める文章にしたいものである。
「書くと描く」を「かくとえがく」と思われて朗読された経験が私にはある。しまったと思った。
しかしタイトルなのでルビを振るわけにも行かず、括弧で読みを書くわけにも行かず。表現に限界があった。
あらすじでなんとなく思わせぶりな文章を書いて「かくとかく」だよと表現すれば良かったのかもしれないが。
書いた作品は短編作品であり、一応カクヨムコンテスト6に応募してあるので出来れば読者選考を通過したい物だ。
短編は一次選考も兼ねているというので、小説になっていれば星の評価が無くてもある程度通してくれるという感覚を、カクヨムコンテスト5で三作品を提出し、二作品は星五十いかない程度だったのに通過したときに思った物である。
ちなみに今年は二作品書いて提出した。上手く頭の中の想像を表現して描くように書けていればきっと通過すると思っている。ちなみにこのときの描くは『えがく』と読むだろうと思って書いている。かくようにかいていれば、ではなくえがくようにかいていれば、と、文章によって誘導できればたいした物だと思う。
さてここまで書いて七百九十文字程度。残り五百文字ちょっと書かないといけない。書き始めて三十分経過している。ほぼほぼエッセイなのだがこれはKACにふさわしいのか疑わしい。しかし書くことに意味があるし、エッセイはだめというルールでは無い。ただただ単純に評価されないと言うだけだ。
書いて満足するレベルであればそれで良いだろう。今回は締め切り直前であるという点を考慮して、魅力的な文章では無くとにかく文字を書いて書いて書きまくることにしている。
果たして間に合うのだろうか。
今回KAC2021において二日目の「走る」という作品で真っ先に思い浮かんだのは運動系統の走るで会った。
私は長距離マラソンの作品を書くつもりであった。ちょっとエッチではあるがそれを大真面目に書くことで面白く読めつつも、へぇそうなんだななぁという雑学を楽しむことも出来る作品とするつもりであった。
しかし書くことは出来なかった。なぜか。
それは大真面目に書き上げる、そして一千二百文字まで到達させるというところまでネタが練り上がらなかったのだ。
作品を書き始めてすぐにゴールラインが非常に先で、書き上げるのはかなり難しいと感じた。走りきれないと思ってしまった。
そういう感覚に陥ると、短編を急いで書くような競技性の高さがあるKACというものではなくて、普通に文章を書くときでもやはり書けない。作者の内心的宇宙に蓋が閉じられるとどのような面白さがあっても話が詰まってしまうのだ。
ちなみに書こうとしたネタは精子が性行為を経て膣内に発射され、卵子に受精するという内容である。
それを実況中継風に書き、面白くなりつつも途中途中の精子が死ぬ過程――例えば膣内は弱酸性で保たれており非常にか弱い精子だと溶けてしまう、精子同士で食い合いをし始める、マクロファージが住んでおり異物として食べられる、など ――を表現すればできると思った。
しかしできなかった。自分の薄っぺらい知識をネット百科事典で調べ上げながら補強し、それをネタにまで消化させるというのを短時間で行うのは難しかった。
これはできなかったのは残念ではあるが、しっかりとした資料を参考にする文章を書く際には十分な時間を確保する、という勉強になったので全くのだめな時間ではなかった、と思いたい。
なんとここまで書いて一七〇〇文字程度である。一二〇〇文字以上かけている。文字を走らせるというだけなら大したものではないだろうか。しかしこれはエッセイであり小説ではない。短編小説としては不十分であろう。
これも勉強だなと思って筆を走らせるという行為を終わりにしたい。
現在時刻三月十二日午前三時半。執筆文字数一九〇〇文字程度。執筆時間一時間。誤字や表現違いなどの推敲は一切なし。間違えてグーグル日本語入力で書いたので句点と読点が半角になっている。書き直す時間は無い。
了
筆を走らせろ! きつねのなにか @nekononanika
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