社畜の俺が過労で痩せた→更に独身だと知ると美人上司が手料理を届けてくれるようになった 【ラブコメ】

雲川はるさめ

第1話

社畜の俺が過労で痩せた→更に独身だと知ると美人上司が手料理を届けてくれるようになった

【ラブコメ】


今25歳の俺。名前は山吹シンジ。

振り返れば学生時代。千曲川の河川敷の堤防沿いを頑張って走っても痩せなかったのに、不思議なもので、仕事のストレスで俺はマイナス10キロという大幅な減量に成功した。


すると、どうだろう。

横幅があった筈なのに、シュッとして

まるで自分ではないみたいだった。

食欲はなくなり、あまり食べなくなった。

運動で減量したわけではないので健康的な痩せ方とは言えないかもしれないが。


ま、結果的には見た目が大幅に改善したわけだからいいとしようじゃないか。


さて、仕事はSEの俺。


気が付けば、女性社員にモテ出していた。


だがしかし、今まで女と付き合ってきた

ことがないせいか、どう接していいか

分からなかった。

お昼休憩のとき、誘われるんだが、

俺はしどろもどろで何も答えられなかった。


「山吹くん、今夜、ご飯行きましょう!!」



「えー、ちょっと抜け掛け禁止!!

私と行くんだから!」


「先輩、前から思ってたんですけどー、年増の若作りですよ、その派手派手メイク.!」


「なによぉっ!歳下が生意気言ってんじゃないのよっ!」




女子社員は勝手に喧嘩をし、

俺が黙っていると、


「どっちと行きます!?」

「どっちと行くの!?」と

二人して尋ねてきた。


どちらも傷つけたくないし、

女の嫉妬ってこええって、一個上のねぇちゃんは言ってたから、

どちらも平等に接するべきだと

ここは考えて、


「今夜は空いてないです」と

いつも、いつだって、いかなるときも。


そう答えて事なきを得てきた。



しかし。


ある日、超絶美人な上司が本社から赴任してきた。


名前は山野井ユーコさんという

黒髪ロングヘアの超絶美人。


彼女には絶対に彼氏がいると思ったのに、


その美人上司にも俺が好かれるという事態になった。


「今日こそ空いてる?」


「いえ、用事があります」


「もぉー、独身なのよね?噂だと彼女もいないのよね??」


「ま、まぁ、そーですけど..」


「ダメなもんはダメなんです」


俺はこうやってはぐらかしていたが。

ついに、美人上司が大胆な行動をしてみせたのだ。


ある日の日曜日の昼下がりのこと。


一人暮らしのボロアパートで

まったりしていたら、呼び鈴が鳴った。


オンボロアパート故に、貧乏人が住んでると思われがちだから、訪問販売員も遠慮してしまうようなアパートだった。誰だろうな?大家さんかな?と思ってボロっちいドアを開けたら、

絶句した。


この、アパートに、似つかわしくない

美人上司がにこにこしながら立っていた。



ブランド物に身を包み、

やたらとキラキラして見えた。


「隣室に引っ越したの。これから宜しくね!」


「はい、コレ!引っ越しの挨拶に」


一眼で高級だと解る菓子折りを手渡された。


「え、山野井さん、なんで、??

こんなボロいアパートに??」


「追っかけてきたに決まってんでしょ!」


「え」


「追っかけよ。あとこれ、煮物作ったの。

食べてほしいな」


タッパーを渡された。


そして、


合鍵まで。


「いつでも遊びに来てよ。

特に、夜這い、大歓迎よ!」



「いや、あの、、菓子折りとタッパーは

受け取りますけど、流石に合鍵は...」


「返さないでよ!私、これからスーパーに行くから!じゃね!」


俺の差し出した鍵を握る手を振り払い、

たたっと彼女は俺の前から姿を消した。


高級な洋服を着た美人が。

何を血迷ったか、ボロアパートに越してきた。


に、似合わない...


俺はそんな独り言を呟いてから部屋の中に戻った。


それから時ながれて、

夕飯時。


また呼び鈴が鳴った。


戸を開けると、

美人上司だった。



「はい、コレ。

カレーライス」


「ええ...」


「お皿ごと!?」


「そ、食べたら洗って返しに来てよ」


「ろくに食べてないんでしょ?

ほぼ毎日の昼ご飯、カップラーメンやコンビニ食の生活なんかしてたら

栄養偏るぞ!

なんか、顔色あんまりよくないし、

こっちは心配してんのよ!」


「す、すみません...」


「それじゃね!」



俺は部屋に戻り、棚から取り出して

テーブルの上に乗せたカップラーメンを

何事もなかったように棚に戻した。


カレーライスは。

電子レンジであたためなくとも、

充分にあたたかった。


冷めてなかった。

なので、俺は、

昼下がりに受け取った煮物だけ、

チンすることにした。


テレビのニュース番組をつけ、俺は

夕飯を食べた。


「美味いな...」


俺は夢中で平らげ、それからカレー皿とタッパーを洗剤をつけて丁寧に洗った。


すぐに返した方がいいよなと

思って、タッパーとカレー皿を

ふきんで拭いてから、山野井さんの元を訪ねた。


その時。山野井さんの部屋のドアの前で。


俺は、ガタイのいい男前の男と鉢合わせした。


しかも何故か滅茶苦茶、睨まれた。


俺より先に隣室の呼び鈴を鳴らす名も知らない男。


「おい!!ユーコ!いるんだろ!

とっとと出て来い!」


ドンドンドンドン!と激しくドアを右手で叩いていた。


まるで、騒音だ。


二階建てのボロっちいアパートだから、

一階に住むおばあちゃん大家さんが出て来て、


「ちょっと、うるさいから!

やめてくれないか!?」

「出てこないなら、留守じゃろ?」と男を嗜めてくれたが、男は、聞く耳を持たなかった。


「うるせえな、ババア!俺は彼女に会いにきただけなんだ!引っ込んでろよ!」


「あとな、留守じゃねぇんだよ!俺は彼女が部屋に入って行ったのをこの目で見たし!!」


「だから、来たんだ!」


しつこい男だった。


俺はどうしていいか、分からずに立ち尽くしていた。


だが。


やがて、男がキレて、

ドアを蹴り飛ばして破壊したんだ。

オンボロ故、ドアが外れて床に落ちた。


ドォン...!!


嫌な音が耳に響いた。


「ふざけんなよ、ユーコお前な!俺と別れるってどーゆーことだよ!?」


俺は大慌て自分の部屋に戻り、

携帯を操作し、電話をかけた。


「もしもし、あの、警察ですか?事件なんです、

すぐに来てください!!」


「場所は、住所は...で!」


器物破損、そして恐らくはストーカー禁止条例かなんかで、警察が来てくれ、適切に対処してくれると思ったんだ。


「ギャーッ」て悲鳴が聞こえ、

俺は大慌てまた、廊下に出た。


止めに入ってくれたのだろう。

おばあちゃん大家さんが、男に

部屋の入り口のところで、

「邪魔だ、ババア!」と

吹っ飛ばされていた。


そして。

「キャーッ」て部屋の奥から山野井さんの悲鳴。


男が部屋の中へと入って行くところだった。


俺は、大慌て、男の腰に両手を回し、

何とか、制した。


「離せ、離せよっ...!!」



なんとか時間稼ぎしよ、、そう思い、

腰と足に力を込めた。



やがて。


サイレンの音が鳴り響き、

警察が来てくれて。


男は現行犯逮捕されて行った。


大家さんは腰の骨を折る大怪我。

そして、俺も実を言うと、腕の骨を折られていた。


大家さんも俺も治療費は勿論、男から貰うことになり。仕事を休んで大家のおばあちゃんを車に乗せて、ともに病院通いした。


山野井さんは。


「私のせいで、ごめん、、」と

泣きながら謝ってたけど、

別に山野井さんが謝ることじゃないと

俺は静かに言った。


「ううん、もとはと言えば、私が男を見る目がなかったの!!怪我させちゃったんだから、色々お世話させてよね...!!」


「え...」


山野井さんは俺の部屋に上がりこんで来た。


もっとも。


ドアを破壊されたから、

その部屋はまだ戸がつけられてなくて住めない。


業者に頼めばすぐだと思うのに、

おばあちゃん大家さんが、そうさせなかった。


何でも、おばあちゃん大家さん曰く。


「そろそろ取り壊し予定だから、

ドアを直す必要はない。

これはお節介かもしれないけど。

おまえたちふたり、よくお似合いだから

隣室(つまり俺の部屋)で同棲したらええ。

家賃も安くしてあげるから」


「それ、いいですね!」と山野井さん。


困ったことに。

部屋はふたり暮らしには狭いのに、何故か

俺らは同棲してる。



歳月流れて。


俺の骨も綺麗にくっつき、大家さんの腰も完治した頃。


アパートの取り壊しの日時が決まった。


俺は山野井さんと住むための少しリッチな

マンションを不動産屋で探してる今日この頃です。


























iPhoneから送信

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

社畜の俺が過労で痩せた→更に独身だと知ると美人上司が手料理を届けてくれるようになった 【ラブコメ】 雲川はるさめ @yukibounokeitai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ