第5話 逆だよね?

神速剣しんそくけん!」

 まさに神速のような超加速で敵を斬る技だ。

 昨日も使ったけど、目にも留まらぬスピードで光の軌跡のような動きで超カッコイイ。


魔法剣まほうけん!」

 剣に魔法を付与して斬る技だ。

 剣が魔力で光って超カッコイイ。剣といっても、今は木の棒だけど。


次元斬じげんざん!」

 次元を超越して、離れた敵や攻撃をかわした敵さえも斬る技だ。

 これ使うと強キャラっぽくて超カッコイイ。


無限斬むげんざん!」

 無限とも思えるような斬撃を、ほぼ同時に見えるような高速で連続攻撃する技だ。

 もうオーバーキルすぎて意味が分からないくらい超カッコイイ。


「ふうっ、こんなもんかな」

 さっきから、咲がモンスターを斬りまくって魔石を集めている。

 モンスターを倒すと魔石になるのは、ゲームの世界に似ている。

 しかし、咲のスキルは全部超カッコイイ。

 羨ましい、羨ましすぎる……


「咲、凄いよ! 超カッコイイよ!」

「えへへ~」


「いいなーいいなー うちも魔法使いたいなー」

「あいちゃんはダメだよ。また地形を破壊しそうだし。」

「ぶーぶー」

「ぶーぶー言ってもダメだよ」



 昨夜は俺のスキル調教で、咲のスキルの上限解放できたのだが、咲はぐったりして寝てしまい、あいちゃんは拗ねてふて寝してしまった。

 しかしオレは、二人と同じベッドで寝た為、緊張と興奮で全然眠れなかった。

 どういう原理なのか分からないが、スキル調教は対象者の体の中をいじくってスキルを上昇させる効果が有るようだ。

 受付嬢の言っていた事と違うみたいだけど……


 朝になって冒険者ギルドに行ったら、昨日の山が消えたのが騒動になっていて、魔王の仕業だとか何処かの国の超魔法兵器だとかとんでもない噂になっていた。

 これ以上目立つのは避けたいので、あいちゃんの攻撃魔法はしばらく使わないようにしないと。

 しかし、咲の活躍で魔石も集まったから、けっこう報酬を貰えそうだ。

 これで装備を整えて早く他の仲間を探さないと。



「魔石も貯まったし、そろそろギルドに戻ろうか」

「うん」


「そういえばさ……ハル、アタシが寝てる間に変な事してないよな?」

「え、変な事って?」

「いや、してないならいいんだよ……」

 くっそ、せっかくハルと同じベッドで寝たのに、アタシが疲れて熟睡しちゃうなんて……

 全く記憶が無いし。

 寝てる間にハルがエッチな事とかしてたらどうしようとか思って恥ずかしくなるし……

 ハルはしてないって言ってるけど、もしかしたらキスとか胸を触ったりとか……もっとエッチな事とか……ううっ……


「咲、どうかした?」

「なんでもねーよ」


「ぶーぶー」

 あいちゃんは、まだ拗ねているみたいだ。

 口を尖らせてぶーぶー言ってるのがちょっと可愛い。




「結構な額になったな」

 ギルド報酬や魔石の交換で、かなりの金額になった。

 咲のレベルが高いので、いきなり上位クエストを回してもらえるし、モンスターもバンバン倒して凄く効率が良い。

「先ずは装備やアイテムを揃えて、あとは情報を集めよう」



 報酬で装備とアイテムを揃えて、それなりに冒険者っぽい見た目になった。

 あと、この町はフォーリントン王国のハースという街らしい。

 王都の方角を聞いたから、そっちに向かう事にしよう。


「今日は、良い宿屋に泊まれそうだね。何部屋か取れそうだよ」

「アタシは……ハルと同じ部屋で良いけど……」

「あー! ずるい! うちも、はるっちと同じ部屋がイイ!」

 結局、彼女らに押し切られて一部屋になってしまった。




「ハル、先にお風呂入っても良いよ」

「えっ、でも悪いし。咲達が先に入りなよ」

「良いから良いから」

 何だかよく分からないけど、風呂に押し込まれた。


 中世ヨーロッパっぽい街だけど、部屋に風呂は付いてるんだ……

 そこは、ご都合主義っぽい感じだな。

 王都に行けば、もっと情報が入りそうだから、他の仲間の事も調べられそうかな。

 そもそも、一体誰が召喚……転移……? させたんだろ?


 

「はるっちー! 背中流すよ!」

「おい! 待て! アタシがやるって言ってんだろ!」

 あいちゃんと咲が風呂に突撃してきた。


「ちょっと、オレ裸なんだけど」

 慌ててタオルで股間を隠す。


「わっー! 二人共裸じゃないか!」

「お風呂は裸で入るもんでしょ」

「アタシは違うから……あいが裸で入っちゃったから止める為に……」


「どうでもいいよ~ はるっち、お背中流しますね~」

 あいちゃんが、背中に密着してスリスリし始める。


「ちょっと、おっぱいが当たってるから」

「当ててるんだしー」


「は、ハル…… アタシも洗ってやるよ……」

 咲が前に回って、オレに密着してくる。

 二人にサンドイッチされて、胸でスリスリ洗われている状態になった。


 二人の柔らかい胸の感触を前後に感じて、理性が限界突破しそうだ。

 咲もあいちゃんも、競い合うようにスリスリしまくって止まりそうにない。


「あっ……」

 咲がよろけて手を着いた場所に、ちょうどオレのアソコがあり、ギュッと握ってしまう――――


「……」

「ハルのヘンタイ!」

「えぇぇぇぇぇ……」



「オレ悪くないよね……」

 咲に叩かれてしまい、オレはベッドでふて寝している。


「だから謝ってるだろ、ごめんって……」

 てか、ハルのあそこ……大きかった……まだ手に感触が残って……


 ベッドで寝ていると、あいちゃんがオレの手足をタオルで縛り始めた。

「え、え、何これ?」

「はるっちが動けないようにしてるんだよぉ」

 あいちゃんは、動けないようされたオレに抱きつくように添い寝して、体中にキスしたり舐めたりしてくる。

「うわっ、ちょっと!」


「あいだけズルい! アタシも!」

 咲が反対側に入って来て、同じようにペロペロしてくる。

「何なのこれ、何のプレイだよ――――」




 昨夜の変なプレイで殆ど寝れなかったオレは、咲に肩を貸してもらって歩いている。

「おかしい! 異世界に来て職業調教師になったのに、調教されてるのオレの方では……?」

「きっと、ハルはそういう星の下に生まれたんだからあきらめろよ」

 咲は嬉しそうに笑顔で答える。



「もう、今日は王都に向けて出発しよう」

「「おー!」」

 オレ達は王都行きの馬車に乗って旅立った。


 この時のオレ達は、異世界から召喚された新たな女王が君臨し、王都が大騒ぎになっている事など知りもせず呑気に旅行気分だった――――

 

 



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