第2話 ギルド登録?
咲と二人で最初に見えた街の前までやってきた。
入り口に門番が居るみたいだ。
もしかして、通行手形とか身分とか何かを調べられるかもしれない。
この世界に転移された時に、服装はそのままなのにスマホや持ち物が全て無くなってしまった。
他の仲間とも連絡が取れないし、身元を示す物も何も持っていない。
そもそも、この世界の住民と言葉が通じるのだろうか……?
「困ったな、門番に見つからないように入れないかな?」
「アタシに任せて! 今のアタシならハルを抱えて、スキルの神速で一気に走れば見つからないかも」
「ちょっと待って、それって目にも止まらない速度って事だよね。いきなり音速を超えたりしたらオレの体は加速した時の重力に耐えられるのか?」
卵みたいにグチャっと潰れる映像が目に浮かんで腰がゾクっと震えた。
「アタシ、数学苦手だし……」
オレも重力加速度とか分からないので、どのくらいの加速まで体がもつのが知らない。
こんな事なら、もっと勉強しておくべきだった。
壁を登るとか水路から入るとか色々話し合っている所に、一台の荷馬車が近づいて来た。
「あれの荷台に潜り込んで通過するのはどうだろ?」
「それで行こう」
二人の意見が合ったので、その作戦で行く事にした。
結局、門番はろくに仕事もせず、荷馬車はほとんどノーチェックで通過した。
適当な所で荷馬車から抜け出して、街の通りを二人で歩く。
やはり日本とは全然違う街だ。
イメージ的には中世ヨーロッパ風に見える。
先ず、ここが異世界なのか過去にタイムスリップしたのか分からない。
ゲームのステータスみたいな物が出るという事は、やはり元の世界とは全く違う世界かもしれない。
オレ達の恰好が目立つかもしれないから、何処かで服も手に入れないと。
「先ずは、宿屋とか泊まる所を確保しないとならないし、この世界の貨幣も何とか手に入れないとならないかな」
「うん……」
え、えっ、泊まるって……もしかして二人っきりで寝るのか……?
同じ部屋で……同じベッドかも……
ハルが興奮して迫って来たらどうしよ……そりゃハルも男子だし、我慢できなくなっちゃったら……
まだ、心の準備が……
「咲、咲――――」
「ん、えっ、何?」
「咲がボーっとしてたから。大丈夫?」
「何でもねぇって」
何だよハル、平然としやがって。アタシだけ意識しちゃってバカみたいじゃんか。
街行く人々の話声が理解できる。
これは、転移した時に何かの力で、オレ達の言語が異世界語になったとかなんだろうか。
これなら何とかなりそうだ。
「こういう場合はアニメやゲームなんかだと、ギルドに行ってモンスター退治とかの仕事を
「ハルに任せるよ」
何だかハルの背中が頼もしく見える。
ハルと一緒で良かった――――
「たまにはハルも頼りになるよな」
「たまになの?」
二人で笑いながら歩く。
「多分ココかな」
ギルドっぽい看板の建物に入る。
「ようこそ。あなた達、見掛けない服装ですね」
「はい、とても遠くの国から来たので、システムを詳しく教えてもらえますか?」
受付のお姉さんに色々と説明を受け、大体の仕組みは分かった。
とりあえず、ここで登録をして依頼をこなせば金が手に入るみたいだ。
先ずは受付の水晶みたいなのに手をかざし、ステータスをチャックして登録になるらしい。
「では、どうぞ」
オレは手をかざした。
「えーと、職業……調教師……ぷっ」
ちょ、今、お姉さん鼻で笑ったよな……
「はい、ステータスは……ぷぷっ、あの……このステータスですと、こなせる依頼は無いと思いますよ……ぷっ……」
何で笑いを堪えながら説明してるんだよ! そんなにオレのステータスは変なのか?
「では、次のお嬢さん」
咲が手をかざした。
「え、えっ、えっ、えぇぇぇぇぇ!」
何だか受付が騒がしくなっている。
やはり、咲のステータスはチート級なのかな?
「そんな、信じられない……こんなステータスは初めて見ました……」
「まさか、天から人類を救済する為に降臨したと伝えられる女神、大英雄オルトリーファの再来……」
何だか分からないけど、咲が大英雄にされてしまっている。
あまり目立つもはマズいな。なるべく目立たないように行動したいのに。
「とりあえず、オレ達に出来そうな依頼をお願いします」
早く依頼を受けてギルドを出たい。
「このステータスなら、何でもオッケーですよ!」
オレ達は、早く済ませて金になりそうな依頼を受けて、早速出発する事にした。
去り際に、それとなくオレのステータスの事を、受付のお姉さんに聞いてみた。
「あの―――― 調教師というのは……その……女性を気持ちよくするクラスで……戦闘向きじゃないです。私も見たのは初めてなんですが……あまり
最悪だ――――
戦闘に何の役にも立たない
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