僕の人生、価ッテクレマセンか?

悠久たか矢

第1話

 「…すいません。もし、宜しければワタシの人生買ってくれませんか?」

 今月25歳になった大夢(ひろむ)は、恥じらいも無く繁華街に有る駅前の大通りで、道行く人に声をかけていた。

 「何、あの人…気持ち悪い!」

 通行人の、その様な声にも臆する事無く大夢は誰かれ構わず声を掛けていた。

 

 話は変わるが、皆さんはお金が無くなったらどうするだろうか?

 家族に頼る?

 知人に頼る?

 国に頼る?

 はたまた、犯罪でお金を得る?

 多分、この様に考えるのではなかろうか?

 (犯罪でお金を得るは駄目だが)

 しかし、この物語の世界では自分の人生を買って貰うというのも一つの職業(?)だった。

 この物語の主人公、大夢は幼い頃両親の離婚により幼少時から孤児院で育ってきた。

 勉強も全く出来無かった大夢は、25歳になった現在もマトモな仕事に就けずにいた。

 発達障害としても診断されてしまった大夢は、誰も頼る人物は居らず天涯孤独として生きてきた。

 裏の求人で自分の人生を売るという職業を見つけた大夢は、約5年間この仕事を続けていた。

 

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