第7話

ヒロさんから返事が来たのは、それから2日後のことだった。


仕事の昼休みが終わる2分前にメッセージが届いた。


「何か変わったこと書いてましたっけ?笑」


画面に表示された短い文章を見て、急に緊張した。

慌ててスマホの画面を暗くし、バッグの中に乱暴に放り込む。


考えてみれば、あのようなメッセージを送ったのだから、このような反応が返ってくるのは当然だ。


パソコンに向かって数字を打ち込みながら考える。


自分の変態的な趣味を、誰かに打ち明けたことなど一度もない。

しかし、ネットで知り合った顔も知らない、同じ嗜好を持つこの人になら、理解してもらえるかもしれない。


帰りの電車の中で、人生で初めて自分の性癖を宮城の若者に告白した。


「私もくすぐりに興味があるので、メッセージを送ってみました」


顔を上げると、電車の窓に私の顔が映っている。

公共の場で、自分は変態だと告白した28歳の女が映っている。

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