第29話 愚かな親心1

 陽は、稜禾詠ノ国 一。いや、日の本の国 一の幸せな男だと思っている。


 父が、桜王家の軍事面。主に、ご領主様と、殿様の護衛有事.戦時には作戦を練るの任に任ぜられたのを機に、陽は 楓希姫の護衛兼遊び相手に選ばれたのだから……




 楓希姫が、二歳。陽が三歳の時であった。



 日本人形のように 愛らしかった 楓希姫。美しく成長した 楓希姫……


(お慕いしていても…… )



 いつかは、諦めねばならぬ想い…… そう思っていた。


 それが。


「陽。私と……夫婦になって下さいませんか?」


「はい……」


 幸せ過ぎて涙溢れた陽。同じく涙されている楓希姫をぎこちなく抱きしめた陽。



『受け入れてもらえた』


 と。楓希姫が小さな声で呟いたのだ。


 その瞬間、女性から結婚を申込みをする事への勇気……を思うと。


(あぁ、己の方から伝えて差し上げたかった……)


 そう、思った陽であったのだ。



 

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