第8話 大切な者の為に……

 久方振りに童心に返り


『夜か昼かじぞサマかテッポウか石か』


 を楽しんだ私達。


「なぜであろうな? 昼の時に声をひそめてしまうのは」



鈴兄上様が、笑いながらそう言うと。



「夜の時に、反対に笑いたくてしょうがなくて困ってしまいました(笑)」


詠史殿も、苦笑している。



「じぞうサマの時に、誰かが、くしゅんって必ずくしゃみをしますしね?」


稜弥様は、ニヤリとした笑いを浮かべ。



「テッポウの時は、当たりそう! って思ってつい静かに場所を動こうとしてしまいました」


 なずなも笑顔で返している。


「石ころの時はいつも、誰かにわざとぶつかりに行って、皆で大笑いして、直ぐに誰かが鬼に捕まりましたしね(笑)」


 私も皆につられて、笑ってしまったの。



  湖紗(わたしは ちいさすぎて まけてしまうの。)



「ひる!」 


(どうしよう…… つかまえられないよぅ)


 なきそうになってたら フウひめしゃまが わたしに ちっちゃなこえで。


「夜とかテッポウにしてごらんなさいな? みんな話せないからよく耳すませてごらんなさい? きっと湖紗若様でも捕まえられますよ?」


 って。


 ほんとうに いつもなんでもよくきがついて やさしてくれるフウひめしゃま。


 でも いまは かなしそうな かおを されてる……


なずな楓禾姫様…… これからお辛い想いされるのでしょうか…… お可哀想に…… 私が傍にてお支え致しますから……


鈴(楓禾姫…… 大切な妹…… そなただけを苦しめたりなぞせぬゆえ……)


詠史(楓禾姫…… 初めてお逢いした時から私は…… 必ずお守り致しますゆえ……)


稜弥(楓禾姫様…… 幼き頃から私は ……必ずお守り致しますゆえ……)



稜弥様、詠史殿、湖紗若様、鈴兄上様…… 私が、貴方方を苦しめる者達から守ります…… なずな…… いつも傍で支えてくれてありがとう……


 そんな事を考えながら、皆も、私をそんな風に思っていてくれた事に気づきもせずにいたの。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る