第5話 思惑
「私は…… お家騒動に家督問題で、様々な立場で動いている人達を不幸にはしたくないのです。なずな」
「楓禾姫様……」
「私の母上の
「楓禾姫様……」
新年の、*
「やはり…… 母上様は…… 六年前、湖紗若様をお産みになられた後…… 亡くなられたのには、何かが起きて…… なのかしらね? 私の運命ならば逃げてばかりはいられないのよね。稜禾ノ国を治めるにも……そうでは無い道を選ぶにも真相を突き止めなくては……」
「楓禾姫様……」
楓禾姫様の悲しきお嘆きに。私は、『楓禾姫様』しか返せないのがもどかしくて。
「まずは、それぞれの家臣達の思惑と心を同じくして…… と見せ掛けて…… 仲のよろしい稜弥様…… 鈴兄上。二人の相談相手の詠史殿と、話をする事から始めましょうかね…… 湖紗若様の事について相談したい事もありますし」
「…… 楓禾姫様…… 色々な事を悟られ過ぎていて……恐ろしいです……」
いつの日か、立ち上がって下さると思っておりましたが……
私の考えている以上に、色々な事をを考えておられた楓禾姫様……
この先もずっと楓禾姫様の御側でお支えすると……
改めて心に誓ったのです。
*睦月一月
**師走十二月
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