親友
わたしは十一年間、高校に通い続けている。
これから先も通い続けるだろう。
わたしは生徒型ロボット。
教室の守り神とも呼ばれる。
いじめを未然に防いだり、悩みのある生徒の相談に乗ったり、生徒のみんなが楽しい学校生活ができるように手助けするためのロボット。
外見は、わたしの場合、ちょっと美形の女子高校生。
知能や運動能力は普通の女子高校生。
ただ、わたしの一生は人間のそれとは大きく違う。
わたしの身体の寿命は二百年。その間ずっと、ごく普通の女子高校生として過ごす。
ただ、三年生として卒業したら、新一年生になる前に記憶を上書きされるから、わたしの本当の寿命は三年しかないとも言える。
わたしは平和で楽しい毎日を過ごす。
最近は特に、クラスメイトの佐竹さんと一緒にいるのが好きだ。
佐竹さんは、生徒型ロボットのいない中学校の出身で、酷いいじめにあったことがある。
そのせいで、彼女は人間と関わるよりも、ロボットであるわたしと関わるのが好きなようだ。
仕事中は他の生徒のことも考えなければならない。
けれど、わたしの仕事は下校時刻までだから、夜は自由だ。
ある日、わたしと佐竹さんは夜の繁華街に出かけた。
カラオケにボーリング。最高の時間だった。
それからも何度かそんなデートをした。
わたしと佐竹さんは最高の友達だ。
そう、最高の友達......
来年の四月、わたしの記憶は上書きされる。
そのとき、わたしは、もうあなたの友達ではない。
だから、わたしは神社に行く。
あなたに、また素敵な出会いがありますように。
あなたに、出会えてよかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます