6話 なんでドラゴンの姿でいるの!?じいさん
私たちは王都へと進行するのだが、どうにもどの道も険しく危険が多いせいか進軍について揉めているらしい
というのもハーバード卿に用事があっていま、会議が終わるのを待っている。なのに中々終わらなくて困っている人が10人くらいいる
珍しくハーバード卿が怒っている
ハーバード卿「だから、運行は無理だ!!」
マーヴィン卿「はぁ……。ですが、山脈を回って行くのが1番安全なんですよ?ハーバード卿」
ハーバード卿「山脈を回るにしても日にちがかかり過ぎすぎる上に、馬車馬が持たない」
マーヴィン卿「そこん何とかするのがハーバード卿の仕事では?」
ハーバード卿「確かにそうだが、これに関しては曲げられない」
するとアーチー卿の静かで優しい声が響く
うわ、声まで癒しだわと思ったのはここんところ最近の話
アーチー卿「陛下はどう思いますか?」
イヴァン「……。ザッカリー。お前は隠し通路とかは知らないのか?」
エドワード「分かりません。私は元々、ここら辺の領地に住んでいませんでしたので」
アダム卿「はぁ……」
エドワード「もしかしたらクロム卿ならご存知かもしれません」
ジャレット卿「ん?クロム卿か?あぁん?」
エドワード「皆さんはお忘れですか?クロム卿はアルディバラン領の領主ですよ?その領主が隠し通路を知らないわけがないです。そういう事です」
グレン卿「あっ……」
アラン卿「あー……」
マーヴィン卿「はぁ……。お母さんのくせに生意気ですね……」
エドワード「ん?今、なんて言いました?」
アラン卿「いえ。何も?気のせいでは?」
エドワード「そうですか」
マーヴィン卿「確かに忘れてました。クロム卿は私の腹黒仲間だとしか思ってませんでした」
「「「えっ!??」」」
マーヴィン卿「何かおかしいですか?」
グレン卿「いやお前それは無さすぎだなぁ。いくら何でも可哀想だぞ?クロム卿が」
そう言って大笑いしている……。なんか余計に悲しい
エドワード「マーヴィン卿の頭がおかしいみたいですね」
ボソリとエドワードが呟いたのが聞こえてきた
マーヴィン卿「ん?……。クロム卿は素晴らしい方です。私は策士としては未熟な方なのにクロム卿に関しては優秀な策士ですから」
何となくマーヴィン卿が目をキラキラさせている図が頭の中に思い浮かんだ。うん。絶対にこの前ので手懐けた気がする
ジャレット卿「……。マーヴィン卿はだから婚約者ができないんだぜ」
マーヴィン「ん?何か言いました?」
ジャレット卿「いや、なんでもないぜ」
イヴァン「それよりも。クロム卿。そこにいるのだろう?中に入って意見でも言え!」
私はため息をつきながら中へ入った
リゼル「はぁ……。なんでごぜぇますか?陛下」
とりあえずイヴァンは腹が立つから悪い言い方でもしよっと。皆さん!理解してくれますよね?
アダム「お前っ!??!」
どうやらアダム卿は学習していないらしい。それも空気読めてない
私の襟元をつかみに来た
リゼル「次はどこに飛びたい?王都?あー。なんなら送り返してやろうか?」
アラン卿「アダム卿の言う通りです。それはないでしょう?」
リゼル「へー。アラン卿て空気読めない人2なんですね」
アラン卿「は?どう見ても陛下を侮辱するのは王族侮辱罪です!」
リゼル「はぁ……。ならまた昨日みたいにされたいの?」
アダム卿「あっ……。いやいい」
まぁ、こういえば流石にあんな目には会いたくないみたい……。あそこを押さえている
イヴァン卿「それで、隠し通路はあるのか?」
リゼル「ええ。ありますよ」
イヴァン卿「本当か?」
リゼル「ええ。ハーバード卿。安全かつ大きな隠し通路見たいのが」
ハーバード卿「見たい?」
リゼル「ええ。祖父が飛んだ時に大洞窟に繋がるようにたまたま出来た通路らしいのですが」
「「「……はっ?!!?!」」」
リゼル「まぁ、バハムートなので普通です」
グレン卿「いや、普通じゃないなぁ。どんだけ化け物すぎるんだ?」
そう言ってグレン卿はガハハと笑う
この人、大笑いすることしかないの?
リゼル「まぁ、破壊竜だからということにしときます」
アラン卿「その通路はどうしているんだ」
リゼル「今はバハムート血族の避難通路ということになってます。なのでバハムートの血族の血と魔法陣が必要なのですが。私がいるので問題ないでしょう」
マーヴィン卿「魔物の心配は無いのか?」
リゼル「ええ、よく祖父があそこの温泉に入りに行くせいか魔物は恐れて近付きません」
アラン卿「え?温泉が湧いてるのですか?」
リゼル「ええ。と言っても人が入る用ではなく竜が入る用です」
アダム「どんだけデケェんだ……」
リゼル「まぁ、聖教国のルミエール大聖堂と同じかそれよりもちょっと小さいかの違いですね」
アダム卿「……。すごい大きさだな。王城の5分の1もあるのか」
みんなその発言で唖然としている
そして何故、イヴァンが冷静なのか謎らしく、みんな凝視している
リゼル「ええ。あれは大きいです。なので、普段は人の姿になって過ごしてます」
ハーバード卿「ふむ……」
リゼル「ほんとにドラゴンの姿だとただの迷惑です」
アラン卿「なることがあるのか?」
リゼル「ええ。興奮するとなってしまうみたいでよく祖母に叱られてます」
アダム卿「それは面白そうだな」
リゼル「ええ。『あんた!何大きくなってるのよ!小さくなりなさい!全くただの迷惑よ!!』て言われて喜んでます。ウザってなるので見るのはお勧めしません」
アダム卿「そんなにか?」
リゼル「ええ。ずっと喜んですよ。怒る祖母が愛おしいらしくニヤニヤしていてウザイです。噂のジャレッド卿並に」
アダム卿「それは困ったな。まぁ、いい事ではあるんだろうが」
リゼル「まぁ、腹が立ったりウザイ時はとりあえず湖にぶち込んでます」
アダム卿「すごいな。お前の魔法はどうやら万能らしい」
リゼル「ええ。なので面倒くさそうで武力で太刀打ちできなさそうな人は適当に川にぶち込んでます」
アダム卿「あー……。それは最高だな」
リゼル「ええ。『頭を冷やせ』という意味にもなりますのでありがたい限りですね」
ついつい団欒してしまったわ。なんというか。うん。なんで悠長に話しているんだろう…
なんか腹立つ……。けど、文句言うのも私の分が悪いからやめとこ
リゼル「それよりも続きなのですが。一応、スプリグ大洞窟と言われているだけあって大きい洞窟です。なので5日ほど抜けるのに最低でもかかります。その後も半月は魔物や動物が沢山住み着いているスプリグ大森林を通るのです。物資は多く持っておくことに越したことはありません」
ハーバード卿「なるほど……」
リゼル「それとですが、大洞窟は道を知っている私以外は必ず道に迷ってしまうところです。後々の派遣物資は無理だと思ってください」
マーヴィン卿「……そうなるとなるべく迅速な行動が必要でしょう」
イヴァン「長期戦になりうる可能性はある。準備を過度に行うことに超したことはないだろうな」
リゼル「ええ」
ここまで伝えれば私は用済み。
だから私は天幕を出た
イヴァンのお陰でハーバード卿に確認して貰えたのでまぁ、今日のところはノーカンしてやろう
リゼル「全く、あんな性格ならあんなこと言うんじゃなかったよ。あの時は可愛げがあったのになぁ…」
そう言って首元に手を当ててため息をついた
それから半月が経ち、例の計画が決行された
私は今、大軍の前に立って先導している
うん、めちゃくちゃお腹が痛い、というか慣れてない
いつか前に立たされるのは知ってたけど、この歳で経験はしたくなかったよ(泣)この大群を率いるのはちょっと役に似合わないわ
リゼル「ここが隠し通路です」
そこは超絶でかい岩が壁にくっつかっている
アダム卿「デカイな」
リゼル「ええ。言った通り、祖父が苛立って殴ったら出来た道なのでデカいです」
グレン卿「ほんとに苛立って殴ったら出来た道にすぎては度が過ぎるぞ?ガハハ」
ジャレット卿「ホントか?あぁん?」
リゼル「……まぁ、見てもらえば分かります。多分」
私は右手の人差し指にナイフで傷をつけ、岩に手を合わせる。そして魔力を右手に集中させて……
『
イヴァン「……は?」
「「「えっ???!!」」」
すると魔法陣が破壊されるのが見てわかるのと同時に、重くてでかい岩が動いた
うん。わかるよ?イヴァン
まさか竜語が英語だったなんて私も思いたくなかったもの
いくら何でも英語が竜語なんてちょっとないわー。だって崇高な竜族がよ。比較的、日本語よりは簡単とされている英語を話しているなんて思いたくないよ。
他の国の言語も何故か知っている言語ばっかだし……。なんか神さま、絶対適当になってる
イヴァン「今、えい……」
私は咄嗟にイヴァンの口を塞ぐ
そして視線を送る。[話しちゃダメでしょ!!]
それを見たイヴァンはこくこくと頷いたのを見た私は手を離す
セドリック卿「竜語なんて初めて聞きました。今、なんて言ったのですか」
リゼル「え?あー。退けろって言ったの」
マーヴィン卿「……ふむ。竜語ってとても難しい言語だと聞いた事がある。やはりクロム卿はバハムートの血縁者なのだな」
リゼル「ははは」
私は苦笑いする。あなた達が話している日本語の方が難しいですよーー!!!!と言いたい
あ、文字は逆転している。英語か基本的な文字で。日本語が竜語の文字
うん…、やっぱり神さま適当すぎでしょっ!!て思うよ
なんやかんやで私たちは洞窟内に入った
すると目の前にはまぁ、でかい物体がいる
見上げるのが辛いくらいにデカイ奴が
うん、この鱗、色、模様全て見て、おじいちゃんだ
というか、面白いことに洞窟内へすぐ入ると祖父の温泉場があるんだよね。殴ったら温泉がでてきたとか言ってたからさ。やっぱりおじいちゃん、最凶だわ。HAHAHA
だからって今日、温泉に入りに来ないで欲しいわ。家に人用の風呂はあるでしょ!!!
するとおじいちゃんことバハムートはわたしが来たことがわかったんだと思う。背中から正面になるように動いた
そしておじいちゃんの姿を見た一行は立ち止まり、唖然としている。というか驚きや大きさや威圧感やらもう……。もう、動けないんだと思う。うん、自分でも思うよ。なんで初めて会った時話せたんだろうってさ
まぁ、大きさ的には100分の1のサイズが人なのだから当然祖父から見たらアリ?みたいなもんだと思う。多分
祖父「リゼル。風呂入るか?」
リゼル「私を茹で肉にするつもり?おじいちゃん」
祖父「うーむ。お前を茹でても美味しくはないな」
リゼル「そうだろうね。美食家だもんね」
祖父「それよりもリゼル。そいつらがお前の味方か?」
リゼル「ん。そうだよ」
祖父「ふむ。小さいな」
リゼル「だろうね。だっておじいちゃんが大き過ぎるんだもん」
祖父「それはすまんなぁ。なんか生きていたらここまで大きくなってしまってなぁ…」
なぜそこで照れる!
普通なら申し訳なさそうな顔をして『すまん、すまん』だろ
リゼル「それよりも人間化してくれないかなぁ。普通に首が痛いんですけど」
祖父「茹で肉になれというのか?」
リゼル「茹で肉になるような竜ではないことわかってるけど?」
祖父「あー。そうだった。俺は頑丈だった」
リゼル「だから早く人間化して!」
祖父「裸でもいいのならば」
リゼル「は?変態。クソ野郎と言われたいの?するとも、変態野郎と言って大事なあそこ蹴ろうか?というか、服を着た状態になるんだから大丈夫でしょ」
祖父「………。では、人になろう」
リゼル「…うん。今の間はなに?『人になる!』とさっさっと言いなよ」
祖父「うるさいヤツだ」
リゼル「いやあんたがおかしいからツッコんでるんだよ」
すると祖父は言い返せないみたいで人間化した
見た目は私と身長が20センチ伸びた私みたいな祖父がいた。普通に私なんだよね。なんか気持ち悪いというか……
リゼル「うん。普通に私なんだよ。何気にでかいのなんなの?」
祖父「すまないなぁ。お前はよく育たないからなぁ」
リゼル「それ嫌味?」
祖父「まぁ、大きいと見分けがつかんからな」
リゼル「確かにそれは言えてる」
祖父「そうそう。リゼル」
リゼル「ん?」
祖父「これをやろう」
するとおじいちゃんは私に赤と黒が目立つ剣とタガーナイフ5本を渡してきた。私はそれを受け取る
リゼル「これって領主として認める証でいいの?」
祖父「ああ。それで構わない」
リゼル「ん。わかった」
祖父「リゼル」
リゼル「ん?なに?」
祖父「強くあれよ。お前はなんとしてでも生きろよ。お前が一番の
リゼル「ん。わかってる。この選択も私が一族のためにしている事だから」
祖父「そうか。強くあるのだぞ」
リゼル「私は折れたりなどしない。何があっても」
私は祖父に自分の意志を眼力で送った
そして私はまだ唖然としているイヴァンらを無理やり動かさせて、祖父の前から立ち去ったのだった
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