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その日の朝…俺はどうにも浮わついていた。
と言うのも、今日は俺の彼女が国外から日本にやって来るのだ。
ヴァネッサ=ノースヒル。
アメリカ生まれのアメリカ育ち。
五か国語を操る才女で、とってもパワフルで素敵な女性だ。
自分で言うのも何だが、俺は彼女にベタぼれである。そんな彼女が、俺のクラスメイトになるべくこの学校に来る。しかも留学理由は俺と一緒に居たいからと言う、何ともいじらしい理由。…これで、平静で居られる訳がないだろう?
ソワソワと落ち着かないままで居ると、担任の先生が入ってくる。先生もどこか落ち着かない様子だ…
「えー、あー、今日は皆に転入生を紹介する…ノースヒルさん、入ってきなさい。」
そして、彼女が身を屈めて教室に入ってくる。
その瞬間、教室の時間が止まった様に場を静寂が支配した。
まぁ、無理もない。
彼女…ヴァネッサは、身長200センチ、体重130キロの堂々たる体格の持ち主だ。
その肉体は鍛え上げられており、上半身は制服がはち切れんばかりの筋肉が存在感を主張し、スカートから覗く足は俺の胴回りくらい有りそうである。
美人ではあるが彫りの深い顔は、とても野性的な肉食獣めいた印象を周囲に与える。
正直に言えば非常に威圧的な容姿であり、先生が落ち着かない様子なのも、教室が静まり返っているのも…まぁ分からんでもない。色々規格外だし。
「ヴァネッサ=ノースヒルだ。あー、その…何だ。仲良くしてくれると嬉しい。」
そう言って、ヴァネッサは頭をかきながら微笑んだ。
その笑顔は、威圧的な雰囲気を払拭するには十分なチャーミングさで…なんと言うか、ギャップがスゴい。何だよギャップ萌えかよめっちゃ良き。もう、めっちゃ好き…
「あー、ノースヒルさんはすでにアメリカで大学を卒業してるそうだ。本来はもう高校に通う必要は無いんだが、日本文化を肌で感じたいと言うことでウチに留学することになった。すまんが、ノースヒルさん。皆君の事が気になる様だし、色々と君の事を教えてやってくれ。」
「ん。ああ、良いぜ…良いですよ。」
どうやら、ホームルームの時間はヴァネッサの質問コーナーになりそうだ。
てか、先生に対して敬語で言い直すとかワイルドな癖に気遣い完璧とか無敵かよ、惚れ直すんだが。
俺がヴァネッサに蕩けて居ると、クラスメイトから質問が飛ぶ。
「アメリカのどこから来たの?」
「出身はデトロイトだが、大学はケンブリッジって所だな。」
「失礼な質問でごめんね。本当に私達と同じ歳?」
「あぁ、自分の見た目は良くわかってるから気にすんな。正真正銘16歳のティーンだよ。」
「趣味は?特技は?」
「機械弄りかな。休日はバイクとか車とか弄ってる。特技は…格闘技かな?」
「日本語上手だね!」
「あぁ、恋人のお陰だね。」
「えっ、彼氏居るの!?」
「あぁ、居るぞ。日本人だ。彼氏の影響で日本に興味を持ってね…んー、ちょうど良いか。」
フフフ、その彼氏は俺ですよーと優越感に浸っていると、スタスタとヴァネッサが俺の席まで歩いてきた。
俺は、思わず立ち上がる。
「久しぶりだな。会いたかったぜ、
そう言って、ヴァネッサは…いや、ヴァニーは俺を抱きしめて、荒々しく唇を奪った。それはそれは、情熱的なキスであった。ふぇぇ、頭がフットーしそうだよぉ。
ざわめく教室の中で、誰かの呟きが耳に届いた。
「こ、小宮が…メスの顔をしている…」
バカヤロウ。こんなことされたら、誰だって女の子になるに決まってんだろうが。
ワイルドな彼女に俺は夢中です。 トクルル @TKLL
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