第7話

ゆっくりと時間をかけて離れていくベルンハルトをじっと見つめました。


「ベルンってキスするの好きなの?」

「リーゼは嫌い?」


首をの横に振って否定する。

前世では気持ちとは思わなかった。前にフィーネが言っていたようにた皮膚の接触のようなものだったと記憶している。だからベルンハルトとのキスは不思議なのだ。

前世で恋人が居た話はしていないのでベルンハルトには言えないけど。


「僕はリーゼが重くても好きだからね」

「好きな人から重いと言われるのは嫌なのだけど」

「僕も重いから大丈夫」

「そういう問題じゃないわ」


好きな人に重いと言われて嬉しい女子は居ないと思う。いくら好きだと続けれてもショックなのだ。


「どんなリーゼでも好きだよ」

「それは嬉しい」


抱き締めてくれる腕に寄り掛かれば、さらに強く抱き締めてくれて嬉しくなる。


「いつの間にか僕の腕にすっぽりと収まるようになったな」

「ベルンが大きくなったのよ」


この半年の間にも伸び続けていましたし、男子の成長期って狡いですよね。


「リーゼを包み込めるから気に入ってるんだ」

「私もベルンの腕の中はお気に入りの場所だから」

「そう?」

「温かくて、しっかり包み込んでくれて、良い匂いがして。それにドキドキもするし、安心出来る私の居場所だから」


誰にも譲りたくない。他の人を抱き締めないで。

そう思ってしまうくらいには重い女なのだ。

これではベルンハルトに言われてしまっても仕方ない。

ぎゅーっと強く抱き締められます。


「本当にリーゼは狡い。そんな事を言われたら襲いたくなるだろ」


ここで襲われるのはちょっと困るのだけど。って、ここじゃなかったら良いって訳じゃない。

駄目です。結婚するまでは清い関係を続けないと。


「ベルン、離れて」

「ダメ。今凄く情けない顔だから」


情けない顔も見てみたいのだけど。

力を入れてみるが全然離れてくれない。力の差も開いてしまったみたいだ。


「学園に着くまではこのままで」

「嫌です」

「僕の腕の中がリーゼの居場所なのだろう?」


それとこれとは別問題だ。恥ずかしい事を言ってしまったと後悔する。


「僕もリーゼが腕の中に居ると安心する。柔らかくて良い匂いがして、強く抱き締めるとちょっと強張るところが好き」

「……今、絶対に顔見ないでくださいね」


この人は何を言っているのだろうか。

私が先に言い出した事ですが、確かにこういう事を言われると嬉し過ぎて情けない顔になる。


「照れるでしょ」

「かなり」


結局学園に着くまでの間ずっと離れることはありませんでした。

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