第2話 いつしか

「ねぇ、ンジャヤ、お願いだよ」

「やだよ、魔ネズミなんて戦えないよ」

「ねぇ、ンジャヤなら出来るでしょう?」

「あたしたちには絶対無理!怖いもん」

「……魔兎退治なんてやりたく無いんだけど」

「ンジャヤがいれば安心だよね!」

(なんで、自分ばっかり)


 グニは潰しても、潰しても現れるものだ。

 いつしか子供たちの間で、グニ退治はンジャヤの担当になっていた。ンジャヤは嫌だと言ったけれど、他の子供たちは誰も、グニを潰そうとしない。

 いつしかそれが、魔ネズミになり、魔兎になった。


 初めは恐ろしかった。嫌々ながらでも、ンジャヤはそのうちコツを掴むようになっていた。今まで一度も、魔物との戦闘で怪我が無いのはひとえに運が良かったからだろう。


 けれど、感触も、悪臭も、恐怖にも、ンジャヤはいつまで経っても馴れることができないでいた。


 ンジャヤよりも戦えるものは、その頃には居なくなっていた。魔物が現れればンジャヤが呼ばれる。

 村の大人たちでさえ、ンジャヤを頼るようになっていた。

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