バイクバトン

MAGI

一頁


 日曜の正午、彼は走っていた。

 大型二輪で、ZR-01、YAMANE製で400㏄の新型のバイクだ。本来は趣味で、海の沿道や山間のスカイラインで走らせるのが彼の趣味だ。

 だが、今は街中を走っている。彼は訳がわからなかった。今の状況がである。後続に、パトカーが十台だろうか、いやもっとだろうか。かなりの台数が走っていてサイレンを惜し気もなく瞬かせている。

 そして、もっと訳が分からない最大の理由。

 後ろの座席シートに見知らぬ男が跨っている。血らしき紅い染みがついた迷彩柄のキャップを被り、サングラスをかけている。ヒゲも生えてなく、髪も綺麗なスポーツ刈り。キャップ以外は何処となくやばそうな雰囲気はない。背中に突きつけている拳銃を覗いて。

 男は時折後ろを振り返ってパトカーに向かって発砲を数回行っている。その内二発、タイヤに当たりパトカーが何台か吹っ飛んでいる。

 男は頭の中でグルグル同じことを連想し、同じことを叫んでいた。

 「何で!!?何で!!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る