【PC①】
……でも良い。もう出し惜しみをする必要は無いから。
この港の見える丘公園でもう少し敵を引き付けられれば、MM地区はきっと無事にこの難局を乗り超えられる。
イリーガルエージェントのあの人がいる、マルコ班の救援だって来る、そうすれば支部長も前線に出れる。
ジャームが一体増えたとしても、大したことにはならないだろう。
もちろん皆は怒って、悲しんでくれると思うけれど。
後悔はない。やれることはやった。後は“人類の守護者達”がなんとかしてくれるだろう。そう、昨日と同じ平穏がやってくる。
……そういえば“彼女”はどうしているだろうか。
大きな太刀を重そうに背負って、でも楽しそうにこの世界に馴染んでいった彼女。
5冊目になった手帳に、「やりたいこと」と「やれたこと」が日々増えていった彼女。
学校に通って、まるで普通の女の子の様に笑うようになった彼女。
週末や長い休みにはレネゲイド災害緊急対応班マルコへ遊びに行っていた彼女。調度今もマルコ班に居てくれたことは不幸中幸いだった。
通信を入れる。ここを死守すること、自らは
輝生の叫びを押し留めて、最後に彼女への伝言を頼んだ。
……彼女はあの時こんな思いだったのだろうか。
彼女はどういう顔をするだろう。
──後悔は無い?本当に?
思えば彼女はあの時から強かったな。
「……会いたい……」
そう、口から”願い”が漏れた。
「……はいっ!」
周囲の空間が波打ち──"海"が溢れ出した。
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