第9話

一旦人間に戻り、これからの行動を決める事にした。女にも男にも変身出来る事が僕には出来る。それは他の狸には出来ない事であると思った。僕は他の狸に話しかけて見た。すると何の反応もなかった。えっ、狸って変身出来るんじゃないの? 会話出来るんじゃないの? 僕はとても驚いた。どうやら変身出来る狸は少ないらしい、というより現時点で僕しか確認できていない。変身出来る狐には会ったからもしかして一種族一人とか。そんな事を考えた。もしかして僕は選ばれし狸なのかな。人間の言語も理解できるし、とはいえ喋れる言葉は日本語だけで、もしかしてそれは日本に生まれた狸だからかもしれなくて、外国の狸で変身出来る奴がいたとしたらそいつは外国語が喋れるんじゃなかろうか。若者に人気の街で葉っぱの金を渡して、クレープを食べて歩いていたら、ナンパされた。よくよく話を聞くとナンパではなくてスカウトとかいうやつらしい。でもそれもある意味ナンパだよなとか思った。話の内容はこうだ。えっと君可愛いね。若いいね。かわわかいいね。とかそんな言い方で話しかけられて、「ええそうでしょう。僕は可愛いんです」僕っこですか。とかそんなやりとりをしていたら名刺を渡されたので、僕は住所不定です。って言ったら、家出ですか。それなら住み込みで働きましょう。とか言って来て、僕の年齢は20歳の設定にしていて、何の個人情報もない僕を事務所に入れる事にしたらしい。違法じゃないかとか思ったけど、ばれたら狸としてとんずらこけばいいやとかいう考えから合意に至った所存である。

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日本語破綻者 @mojiuchisyuukann

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