それでもただ魔女は唄う
希望ヶ丘 希鳳
プロローグ
本を焼いた。
ソレは、私にとって大事な、大事な聖書だった。
「全部、あげるね」
たった一言の言葉が、呪いのように耳から離れない。
取り出した煙草に火をつけ、私はぼうっと空を見上げた。
柔らかく天に伸びた紫煙。それは、祈りだ。
どうか、安らかに。
ただそれだけを祈った。
「さよなら」
赤く揺れる光の中へ、言葉と共に煙草を投げ込み、私はもう一度空を見上げた。
「私が、もらったもの。全部、あげるね」
光が消える。暗闇の中で私は――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます