05
さわろうとして。
「触るな」
拒否される。すごい剣幕。
「ぺたぺた」
しかし、さわる。
「おい。大丈夫か」
「え、なにがですか?」
「俺の身体。外からの兵器が。ええと、そうだな、身体が固くなる兵器を壊してきて、その名残が」
「あ、大丈夫です。たぶん」
身体を確認する。大丈夫。
「代謝に不具合があるとかで、わたし、ふつうの人の2倍の細胞あるんで」
「そうか。おまえ。研究所の被験体か」
「あら。研究所をご存知で」
「どうりでなんか気になるわけだ。細胞提供者は俺だ」
「え。兄妹、ですか。わたしたち」
「いや、細胞のサンプルをもとにしているだけだから、遺伝的に繋がりはない。いやあ、しかし、生き残りがいたとはな」
「身体が頑丈なので。はい。背負いますよ。よいしょ」
「名前。なんていうんだ」
「エアリアル2番ドックにいました。だから、エリアルって名乗ってます」
「そうか」
「あなたのなまえ」
「俺に名前はない」
「じゃあ、ドックさん」
「なぜ」
「2番ドックだから。わたしの名前の使ってないところあげます」
「適当な名前の付け方しやがって」
「まあまあ」
お互い。口には出さない。それでも。繋がっている。身体ではなく、心が。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます