第4話

 なんとなく、見たことがあるような女だった。


「待って待って。正義の味方。街の平和を守る。味方だから味方でしょ?」


「俺は官邸寄りの人間だ」


「あ、そゆこと」


 女。インカムで何か通信している。


「現在、官邸内部で何か起きたという情報はないらしいですけど」


「誰と通信してる」


「官邸側の人間」


 よく分からなくなってきた。


「いるんですよ。官邸と繋がってる正義の味方」


「なんだそれ。所属が曖昧じゃないのか」


「はい。曖昧ですよ。それがいいんです。この街の利益になるならべつに所属なんて」


 少し、左足を動かそうとして。


「ぐ」


 動かない。


「もしかして、けが、してます?」

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