第六十話 救出

 ヒストリア達と別れた俺はまっすぐ南門へと向かっていた。

 街の中にいる悪魔族達はヒストリア達に任せて、俺は外にいる大将を倒そうと考えた。

 その間に出会った悪魔族達は倒すつもりだが、基本的には最短ルートで目指す。

 そんなことを考えていると、


「おい人間!」

「もっと叫べ! 助けを呼べば誰か来てくれるかもしれないぜ」


 二体の悪魔族が街の人達を襲っている所に出くわしたのだ。

 流石にこの状況で見過ごすことも出来ないので、


「その程度にしとけ!」


 大声で叫ぶ。

 決まったと思った。

 だが、


「誰だよこいつ?」

「知るかよ、ただかっこつけたいガキだろ」

「そうだな」


 悪魔族達は俺の事を完全に無視。

 襲われている女の人は目に涙を浮かべながらこちらを見ている。

 二人そろって。

 そらそうだよな。

 目の前には自分よりも強い得体も知れない者が二人もいる。

 それだけでも怖いのに、その二人が自分達を殺そうとしているのだからより恐怖だろう。


「は~、すぐに助けますので心配しないでください」

「は、はい」


 小さな声ではあったが女性から返事が聞こえてきた。

 こんな所で時間を掛けてもいられないし瞬殺するか。


 俺は腰に下げている剣を抜き、右足に力を込める。


「なんだなんだ」

「人間のガキが俺達に歯向かおうとするのか」

「冗談もほどほどにして欲しいぜ!」


 悪魔族達は俺を見てニヤニヤとした顔をしている。

 正直かなりなめている。

 

「そんな構えでいいのか?」

「どんな構えでも変わらね~よ、所詮は人間の攻撃だろう? そんな攻撃効くわけね~よ」


 俺は悪魔族の言葉を聞いた後、右足で思いっきり地面を蹴って向かって行く。

 剣に雷の魔法を流しておいる。

 俺の動きを見ても先ほどの笑みを消さない悪魔族。

 その余裕の表情のまま死ねと心の中で思いながら剣を振り抜いた。

 その攻撃を受け止めようと持っている剣で防ごうとしたが、雷を纏わせていたこともあり、当たった瞬間体に雷が流れて黒焦げに。

 もう一体の悪魔族の関しては、振り抜いた剣で切り裂かれた胴体が真っ二つになり倒した。


「本当に一瞬で倒してしまうのとは思わなかった」


 いくら何でも弱すぎてびっくりしていると、


「……」


 どうしたらいいのかという表情で二人の女性が俺の事を見ている。

 目の前で起きた出来事に怯えているようにも見える。

 普通の人が目の前であんな光景を見て平然としていられるわけないよな。


「もう、大丈夫ですよ」

「ほ、本当ですか?」

「ええ、ですがまた悪魔族達がここに来ないとも限りませんのですぐに学園に避難をしてください。あそこなら優秀な教師の方達もいますので」

「ありがとうございます。まるで勇者様のようですね」


 ん?


「どういうことですか?」

「先ほど勇者様方のパーティーが来られたのですが、悪魔族に襲われている私達を無視して何処かへと行ってしまったのです」


 は~、あいつらは一体何をしているんだか。

 しかもこの状況でだ。


「そうでしたか。貴重な情報ありがとうございます。では私は先を急ぎますので、あなた方も早く非難してください」

「分かりました」


 俺は女性二人と別れて先を急ぐのだった。

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