好奇心
ta-KC
好奇心
国道の道すがら目につく看板
【囚人墓地】
こんなところにあるなんて・・・
珍しい場所に不謹慎ながら興味を持ち
車をそちらの方に向けて走らせた
「こんな堂々と囚人墓地なんて書くなんて・・・なんか観光的なところになっているのかな?」
そんな感想を持ちながら
車は囚人墓地と言われる場所につく
そこはきれいに整備されていて
奥には普通の墓地が広がる
思ったところとは少し違ったイメージを持ちながら
車を駐車場にとめて
周りを見渡す
「・・・」
着いた時間がまた夕方の終わりごろ
すこし暗くなった墓地はすこし不気味に感じる
そして普通の墓地とは違い
簡素な石柱が何個も並ぶ一角が見えた
そこも綺麗にされているが
しかし、異質な感じはぬぐい切れない
そこに足を向けていく
近くに行けば行くほどわかる
多くの石柱の数
そして、その中央に大きな石碑
石柱を抜けて石碑を目指す
目の前につくと
そこにかかれた文言をよむ
「ここに眠るのは旧○○監獄にて労働、また収監中になくなった人々の墓・・・」
そのようなことが書かれていた
そして
永眠することへの安らかな眠りを・・・
みたいな言葉で締めくくられていた
「そうなんだ・・・この辺り昔監獄あったのか・・・郷土史を残すために囚人墓地も看板に・・・」
看板の意味をしり何となく納得していた時
「あれ?」
風はない今日
しかし鼻に匂いが流れてくる
「これって・・・線香?」
よく嗅ぐあの匂い
だが、簡素な石柱に線香が立てられている形跡はない
ほかの奥のお墓にあったとしてもここまで匂いがのこるものか?
周りはすっかり暗くなっていた
「これは・・・よく聞く心霊的なやつ?」
恐ろしさより初めての体験に少し
興味がそそられた
車にもどり置いてあった光源を手に
墓地に戻る
匂いは強くなり
そして
それがどこから漂ってるかそれもわかるほどだった
石柱の中を抜ける
「やば、もし幽霊にあったらどうしよう?」
よくホラーが好きで心霊番組や映画はみる
しかし、自分は信じてないのであまり怖いとかなかった
むしろ何かあるのか
そんな怖いもの見たさの興味が勝っていただけだ
不謹慎ながらワクワクして奥に歩く
するとさっきまでのキレイな整った区画が急に荒れる
そしてその中に建物が見える
「あれは・・・」
近くに行きよく見るため照らす
そこそこの大きさ
そして建物の半分は崩壊している
そして線香の匂い・・・
「これって本当にやばい??」
あまりに雰囲気がある場所そして不自然に強くなる香り
「?あれは看板?」
その中光源に照らされて立て看板が見える
『販売中』
「・・・販売中ってこんなの誰買うんだよ・・・しかも墓地の奥に私有地?ありえるのか?」
そう思って振り返るとキレイに整備された区画が見えなくなった
「あれ!?やばい!!奥にきすぎた!?」
すこし調子にのり奥にきてしまったことに
パニックになる
「やばい!どうしよう!!とりあえずこっちに!!」
そういってきた方向であろうところに歩き出す
しかし、さきほどまでは違う道の様子・・・
あんなにきれいだったのに
草が伸び整備がされてないそんな道
「こんな道あるいてないぞ・・・」
不安が心を蝕む
「とりあえず元のところに!!」
そういってさらに進む
すると
『販売中』
先ほどの看板が目の前に現れる
そしてさきほどの崩れた建物がある
「そんな・・・」
元の位置に戻っている
「どうして!!」
あわてて歩き出そうとしたとき
線香の匂いがしていたのに
なにかすこし油を放置したような奥に絡む匂い
そんな香りあたりをつつむ
そして
「なんだこの匂い・・・気持ち悪い・・・」
酸っぱいようななんとも言えない感じ
食品を腐らせてしまったときの匂いにも近い
そんな匂いに包まれ気分を悪くしていると
建物の方からなにか気配がする
「人?まさか・・・でも・・・」
こんなところに人がいるわけない
けど
『販売中』
この看板・・・もしかしたら・・・
「すいません!!誰かいますか!!!」
ありえないと思いながら一部の望みにかける
「ぁ・・・・・ぃ・・・・・」
「!?」
声?誰かいる?
こんなところに?
まさか・・・でも・・・
先ほどの心霊がちらつく
こんなのホラーの定番だ
けど、今はそれにすがるしかない
「すいません!!助けてください!!迷ってしまって!!」
そういって恐怖がありながらも
建物に近ずく
すると半壊しているところとは違い正面はきれいで
まだ、人がいる希望がないわけはないのかも
そんな風に思った
それこそ不動産関係の人が管理しに来たみたいな
都合のいい方に考えて正面を見据える
すると奥に男の人の姿が見えた
「すいません!!たすけてください!!」
顔はみえない暗闇に立つ人の姿
「あの・・・」
よく考えるとこんなに暗いのに懐中電灯もないなんて
「すいま・・・せん・・・」
声をかけてみるが反応はない
こんなのもしかしなくても・・・
そう思った瞬間体は動く
この場所から離れようと逃げ出す
「やばいやばいやばい!!!」
声が出てしまう
看板の方に走っていった
しかし!!
ガっ!!!!
足が何かにもつれた
「あ!!!」
そういって前のめりに転倒する
「いてぇ・・・」
声を出しながらも早く逃げようと
起き上がろうとする
だが
「!?」
足が動かない・・・
いや、足をつかまれていた
両足を一人ずつ男性がしっかりつかむ
「ああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
恐怖のあまり叫ぶそして
それを聞いてか回りにわらわらとした気配が近ずく
人の影が増えていく
その数、そしてなによりも
今起きているこの状況に恐怖した
「ああ!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!」
そういって体をまるめてその人の群れから自分を守るようにする
「ああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
叫び声をあげて恐怖に立ち向かった
くるだろう何かを恐れて
・・・・・
?
なにもない
そして恐る恐る目をあける
するとさっきまであった影はなくなり
星が広がる空を見上げていた
その瞬間
さっと起き上がる足元には石柱が
そして周りはきれいに整備された墓地
「な、なにが・・・」
震える体そして心
もうなにもわからないまま車に戻りすぐここから立ち去る
「はぁはぁ・・・」
息があがり何が起こったが整理するなどそんなことはできず
コンビニがあるところまで行った
明るい
そして人がいる
それだけで安心した
「ふーたすかった・・・よかった・・・」
好奇心から行ってしまった囚人墓地
途中までは郷土史に興味があった
しかし、途中からの展開で心霊的なことを求めてしまった
それがこんな結果を生んだ・・・
「でも、よかった・・・本当に・・・」
最後の行動に後悔しながらも
今は無事なことに安堵する
そして気持ちを整えるためにコンビニに入ることにする
ガチャ
車のドアをあけて足を外に出す
すると
「いて!」
足首に痛みが走る
「なんだ?」
さっきひねったかそう思って足をみる
すると
両足首に赤紫に染まるあざ
そしてそれは完全なひとの手だった・・・・
それ以降おれは興味本位で心霊系やホラーを見なくなった
ただ恐ろしかった
また自分の身に何か降りかかる
そんな妄想がとまらない
好奇心という名の化け物がまた自分を動かさないように・・・
好奇心 ta-KC @take0520
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます