第5話 2000/6


---------------------[短文のコーナー]------------------------------------


[Raindrops]




雨は空の涙。

どこかで聞いたそんな一節。


旧い小説、だったかしら....


あなたを想うと、空の色、なぜか違って。




.....叶わなくったって、届かなくったって。

.....それでも、私....いつだって。




涙、こぼれそう。


空を、見上げて...でも。



一粒の、fall-in。




雨は、空の、涙。


私の想いも、涙になって。

届けばいいのに、あなたのとこへ。


雨と一緒に、こころ、ひとつぶ。

空の果てから、舞い降りて。


あなたを濡らす、雨の雫は。

私の、涙の、ひとしずく.....。




[作:shoo 2000/4]


---------------------[長文のコーナー]------------------------------------




[今はまだ遠い....]





午後の校庭。



木もれ陽あびて、少女はひとり。

利発な感じの、横顔も。


今日は....なんだか曇りがち?


ひとり、うつむき、もの想う.....。





先輩?



私....どうかしてます。

だって、あんな...。

あんな..ことって。


どうしてなんだか、わからないんです。

でも、


先輩の顔、見ていたら....。

なんだか、涙。

こぼれてきちゃって。





目の前に、すぐ目のまえに。

でも、

手をのばしても....届かない。


そんな気がして。






彼女、視線はうつむいたまま。


こもれ日は、ゆらゆらゆれて。

光の珠で、優しく包む.....。




はるかな、記憶に、かすかに残る、

母のぬくもり、ゆらゆらり...

ゆりかご、ゆれて、そよ風と。

ふわり、さわさわ、ゆらゆらり...。



そんな、思い出、想いだし。

少女のこころ、穏やかに。




ふと、見上げれば、梢の若葉。

みどり、くまどり、あおみどり...。





ゆれる木の葉が、光を浴びて。

光の珠で、語りかけてる。



「元気、だしてね。」

「だいじょうぶ?」



「.....。」




.....もう、だいじょうぶ。ありがとう。

  元気をくれて、ありがとう。

  いつか、いつにか、この場所で

  あなたの幹の、その前で。

  こころ、想いをつたえたい。

  そう願います。いまは、ただ。

  そう信じます、叶うって。





.....勇気、ください。ちょっとだけ。





そらを、あおいで。微笑む少女。


想い、信じて、真っ直ぐに。

瞳のいろは、いつもの色に。

若い、煌き、映してる....。



「よし!」



さっと振り向き、歩きだす。





....いつもの、感じに、もどってる。

  ちょっと、勝気な、16歳.....。






「あ....。」



ニ羽のつばめが、たわむれながら。

すいと目の前、すり抜けた。

緩いカーヴを、見事に描き、

高い空へと、飛翔して..。



「夏...か。」




「なにか、いいことあるかな...。」












[作:shoo 2000/6 ]




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