第4章 


敵対していたトカゲ人間達の来襲

      1

  

宇宙船の中では、トカゲやカエルのような【爬虫類系】の人間が乗っている。


カエルの親分の名前は【ドロン】彼らの星の中で大きな国の有名な大富豪で、

親が不動産・カジノ等を経営していて、裏では武器商人の仕事もしている、

金に物を言わせて何でも簡単に手に入るため、いつも刺激を求めているのだ、

ドロンはワインの様な飲み物を飲みながら幼虫を食べている、


トカゲの名前は【イヤミ】人身売買の仕事をしていて悪賢く歪んだ性格のため、

相手が悲しんだり苦しむ姿をみると喜びを感じるタイプでまた、卑劣で執念深い、

この連中は昨年の宇宙レースで卑劣な手を使いながらトップを争っていたが、ホープに負けて賭けで大損した事を根に持って逆恨みをしている。


ドロンに向って派手な服を着たイヤミが、


「やつらの船を見つけやした!追跡装置のおかげですな」


イヤミはケッケッケーと嫌な笑い方をした、


「そうかそうか、じゃあ早速明日何人か連れて挨拶して来い」

グァグァと笑った。


      2

 翌朝九時ごろイアンは飛行船でニコルの村に向っていた、村に着いて近場に船を停めた、そしてリングに話しかけた。


「ニコル聞こえる?」


「おはようイアンどこにいるの?」


「おはようニコル、入口まで迎えに来て」


「分った。ちょっと待ってて」


「お母さんイアンからだよ、お父さん昨日話していた人が来るって、迎えに行って来る」

早足で入口に向かった。


「マギー、イアンくんはどんな感じだった?」


「礼儀正しい好青年ですよ」


「そうかわかった」


父親としては内心複雑な思いだが快く迎えようと思った。


そして入口が開きうれしそうに招き入れてくれると、

家に行き昨日会えなかったおばあさん・お父さん・弟を紹介してくれた。


イアンはお母さんのほうに向いて

「昨日突然お邪魔して美味しい料理をご馳走していただき、ありがとうございました」


笑いながら、

「大したもてなしなんかしてないわよ」


お父さんが話しかけた、

「よく来てくれました娘から話は聞いてます、どうか遠慮せず寛いでください」


おばあさんがひと言「家族が一人増えたようですね」


弟のポコは兄弟が居ないので兄さんが出来たようでとても嬉しく思っている、

皆でお茶とお菓子を食べて、色々な話しをした、ニコルは、

「イアンの家や家族はどうなっているの?」


わかりやすく簡単に説明した、そして家族ぐるみで仲良くなったのだ。

その内それぞれの用事で出かけていきイアンとニコルの二人になり、


「そうだ、今から僕の町まで連れて行ってあげる」


「ほんとうに?でも、どうやって行くの?」


「外に出たところに乗り物を停めている」


「夕方までに帰ってこれるならいいわ」


「じゃあ決まりだ。直ぐに行こう」


という事で二人は飛行船のところまで来た、ニコルは周りを見渡して、


「なにもないわどうしたの?」


「見てて」


透明が解除され目の前に飛行船が現れると、両手で口を覆い(おおい)腰が抜ける程びっくりしたようだ、


「大丈夫?」


「まるで魔法みたい、あなたには本当に驚かされてばかりね」


ドアを開き座るように促す(うながす)と恐る恐る入って座った、


イアンも運転席に座り「じゃあ出発するよ」


船はゆっくり高く上昇すると、


「ヒャーーッ」と大きな声を出して震えている、


「安心して、絶対に落ちないから」


両手で顔を覆い指の間から地上を覗いている、

怖がらせないようにゆっくりと船を前進させた。


五分くらいすると落ちつき、

顔から手を離して不思議そうに、


「羽もないのにどうして飛んでいるの?」


科学のことを簡単に説明したが、理解が出来ないようで困ったような顔をして笑っている。

1時間ほどで町に着くと。


「ここが僕たちの町だよ」


「へー丸い町だね」


そしてホープの中に入っていった。ニコルは地上に着いたので安心したのかフゥーっと大きく息を吐き、微笑んだ。

二人は船を降りて、


「それじゃ案内しよう、

父さんは仕事中なのでまたの機会にして弟を紹介するよ」

笑って頷いた。


ロビンに連絡すると図書室に居るようだ、

噴水のところで待っていると返事が返ってきた、

二人が歩いていると顔見知りの人から、

「こんにちはお客さんですか」と声をかけられ、


「地元の人で見学者です」と返事をした、

ニコルの服装が違うので一目瞭然だ、周りを見渡して興味心身な様子である、、そして噴水の所でロビンと合流した。

 

その頃町から百メートルくらい離れた場所に、一隻の中型飛行船が着陸した。

赤や青緑色のグロテスクな模様の不気味な船だ。

船内では、大型の恐竜二匹にカバーを被せて、椅子を取り付けた乗り物がある、

前の席には力の強そうな大型のトカゲの兵隊が二人、

その後ろに派手に着飾ったイヤミと横にはカメレオン人間の、

【レオン】が座っている、

イヤミは右手に赤い宝飾をつけた杖を持っていて、


「今から出発するから早く姿を消しなさい」と言い杖でいきなりレオンの頭を小突くと、


叩かれたレオンは「ひえー」っと頭を抑えて姿を消した。


イヤミは踏ん反り返って、


「誰がどこで見ているかわかりませんからね、お前には重大な任務を与えているのです、しっかりやりなさい!」というと、


泣きそうな声で、

「了解しました」と言った。


塀の上で監視をしていたロボットのタカが飛び立ち近くの木に止まり様子を見ていると。


飛行船の扉が開いて、大きな生物の背中に乗ったトカゲ人間たちが出て来るのが見えた、町の方向に進んでいる。


その状況をキャッチしたホープは

「キャプテン来客が来るようです」


司令室でその様子を見ていたキャプテンは、


「ホープ招かざる客が来たようだが門まで来たら開けて入れてやってくれ、そして全員に警戒レベル2のメールを送ってくれ」


「了解しました」


イアンたちは噴水の前で合流した


「勉強中に呼び出してごめんな」


「大丈夫だよ兄ちゃん」


「この人の名前はニコルさん」


「こんにちわ、ロビンくん初めましてニコルですよろしくね」


笑みを浮かべて、

「こんにちわ、こちらこそよろしくお願いします。」


そして三人が仲よく談笑しているとメールが届いた。

 内容は【東の入口より来客が現れます。警戒レベル2の体制でお迎えください】※レベルは1~5に分かれている。


      3

イアンはロビンと顔を合わして


「ちょっと危ないやつが来たみたいだね」


その時、ホープの入口からキャプテンと護衛隊員六名が出てきて、隊列を立て待機をはじめた。


しばらくすると恐竜2匹の背中に乗った何者かが近づいて来る、

それを見たニコルは、思わずイアンの後ろに身を隠した。


キャプテンたちは両手を後ろに組み、堂々とした姿勢で立っている、

やがてキャプテンの前まで来ると偉そうな態度で、イヤミが乗り物から降りてきた、 

― 身長150センチくらい ―


キャプテンは真剣な顔で、

「やぁこれは珍しいお客さんだ、こんな遠い星まで何用でしょうか?」


イヤミはキャプテンを見上げると、強い気迫を感じ圧倒されたが、動揺を隠しながら平気なふりをして、会話をした。


「ケッケッケ、たまたまこの辺を通りかかったら見かけたもので挨拶に来たわけだ、しばらく近所に居るのでよろしく頼むよケッケッケ」


「それは奇遇ですな」


本音は悪態をついて帰るつもりだったが止めて、舐めるように周りを見渡している。


「なかなか良い町だ、挨拶も済んだので今日の所は帰ることにするわ」


「そうですかお構いもせず、気をつけてお帰りください」


不気味な笑みをして乗り物に戻り、元来た道を帰っていった。


キャプテンとイヤミが話している隙にレオンが町に潜入をした 。


キャプテンはおもむろにホープに話しかけた、

「ホープ今の話を聞いていたと思うが…」


「はい、聞いていました」


「体を調べてくれ、何か機械の様なものが付いているのかも」


ホープは瞬時に体を調べたところ後部に薄く小さい発信機を見つけ破壊したあと、

「キャプテン発信機を見つけ破壊しました」


「やっぱりそうか、奴らは去年のレースに負けた事を根に持っているようだ、何かたくらんでいる、気をつけよう」


「キャプテン、了解しました」


キャプテンは護衛隊を帰らせたあと、イアン達に笑みを浮かべて近づいていき、

「イアンその女性はどなたかな?」


「昨日話をした女(ひと)だよ」


少し緊張気味に、

「ニコルと申します、どうぞよろしくお願いします」


「私の名前はジャック、二人の父親です、こちらこそよろしくお願いします、ゆっくりしていってください」

優しい顔で笑ったあとホープに帰っていった。


その様子をレオンは見ていた 。


三人はその後食堂へ移動した、周りを見渡してる二コルを見て、


「飲み物はジュースでいいかい」とイアンが聞くと、


「いいよ」と返事をしたのでスイッチを押すと、ジュースが自動で出てくるのを見て驚き、


「人が入っているみたいだね」

と喜んだ。


それぞれのドリンクと固形食品を手に持ちテーブルに座り、食事をしているとニコルが、


「いつもこういうのを食べているの?」


「だいたいそうだよ完全栄養食だしね」


「悪くはないけど料理じゃないわね」


ロビンに、ニコルの家で食事をした話しをすると、


「僕も食べに行きたいな」


「いつでもお昼時にくれば食べられるわよ」


「それじゃあ明後日に行ってもいいかな?」


「じゃあお母さんと美味しい料理を作って待っているわ」

その後家に送ってもらった。


そして二日後、二人は飛行船で村へ向っている途中…


さみしそうな顔をしてロビンが、

「お母さんとおばあちゃん元気でやっているかなぁ」


「そうだねきっと元気だよ」


惑星アトラは人口が増えすぎたため、移住の星を探して多くの宇宙船が旅立っている、

二人の祖母と母親は星に残る人達であった。

感傷に耽りながら飛んでいると、


「もうすぐ着くぞロビン、美味しいものを食べて元気出そうぜ」


「そうだね兄ちゃん」


村に着くと、ニコルと弟のポコが迎えに来てくれた、

家に向う途中イアンが「ニコルのフルネームは何ていうの?」


「私たちは名前だけよ、そうねしいて言えば、この村の名前がタラムだからタラム村のニコルかな」


「そうかわかりやすくていいね」


そして、家に着いてニコルがロビンを家族に紹介すると、父親が、


「ロビンくん良く来てくれたね、今日はたくさん料理を用意してあるから遠慮しないで食べてくれ」


「はいお腹ペコペコです」と言うと皆が大笑いをした、

照れながら頭の後ろを手で押さえた。


メニューは【地鶏の丸焼き・たまご焼き・ソーセージ・野菜とチキンのスープ・野菜とトマトのサラダ・パン・果物】

みんなで食事がはじまりロビンは「美味しい美味しい」と何度も連発して大喜びしている。

それを見ていたイアンとニコルもうれしそうに笑っていた、

楽しかった食事も終わり二人は帰る時間になりイアンが、


「そろそろ僕たちは帰ります、美味しい料理をいただきありがとうございました」


家を出る前に母親がお土産を手渡してくれた、クッキーのようなお菓子やパン、たくさんの果物をもらい、二人は両手にお土産の袋を持って何度もお礼を言って帰って行った。


その後、ニコルはイアンに勉強を勧められて特別に、キャプテンの許可をもらい、

町の子ども達に混ざって学校の授業に参加させてもらった。

コンピューターを使い小・中学生の基本的な勉強を教えてもらっている、

先生は常に二人居るので分らない事があると手を上げれば教えてくれる。


※学生は十歳から十七歳三十名一クラスだけ※


週に四日くらいイアンに連れられて町に訪れていた、

平和に日々が流れていくかのように見えたが、

そこにはトカゲ人間たちの闇が近づいていたのだ―。


レオンはイヤミに、

「私が連絡するまで町の人達を観察して誘拐するターゲットを絞っておくように」と命令を受けていた。


イヤミは子分を十名くらい引き連れて、飛行船で飛び回り夜な夜な村を襲っては、

無理やり女の子どもを誘拐していたのだ。

レオンは虫を食べながらイヤミの連絡を待っている、

そして十四日目に入りやっとイヤミから連絡が入った、


「どうだ目ぼしい子は見つかったか?」


「はいちょうど良い娘が居ました」


「そうかじゃあ守備よくやれよ」


「了解しました」


レオンはニコルをターゲットに絞っていて、

町を歩くニコルを見つけて、発信機の付いたてんとう虫ロボットを鞄の中に侵入させたのだ。

気づくはずもなく送ってもらい家に帰った。

レオンはやっと解放されて高い塀の壁を吸盤を使いながら、

スイスイと登り迎えに来る飛行船の方向へ向っている。

日々監視をしていた鳥型ロボットの目には最後まで、

レオンの姿を認識することはなかった。


      5

その日の夜、村人たちが寝静まっている頃、

レオンとトカゲ人間の兵隊二人が現れたのだ。

二人は迷わずニコルの家に行き静かに潜入して、

レオンが寝ているニコルに麻酔薬を嗅がせると、一瞬気がついて手足をバタつかせたが、そのまま気絶した、

連れ去ろうとしたところ、隣の部屋で寝ていたポコが、物音に気づき、


「ねぇちゃん何かあったの?」


部屋に入ると目の前にトカゲ人間が居た、手首の装置から強力な光がポコに放たれて、

目が見えなくなりその場に座り込んでしまうと、

無情にもニコルはそのまま誘拐されていったのだ。


その翌日の朝、

イアンはいつものように村へ行って、

入口の前からニコルに話しかけたが、

返事がないので位置情報を確認すると、

百キロも離れた場所が表示されて。

― 悪い予感が走った ―


ジョイさんに入口を開けてもらうと、ニコルがいなくなった事を知っていて、

「村中の人達も心配している」と教えてくれた。


家に行くと、

家族全員が頭を抱えるようにうな垂れている、

特におばあさんは、元々心臓が悪い上に心配で、寝込んでしまったと聞いた、

目撃したポコに話を聞くと、

「夜中に侵入してきたトカゲ人間二人組みに連れ去られた」と拳を握り締めて悔しそうに語った。


イアンはみんなの顔を見渡して、


「必ず僕がつれて帰ります、安心してください」

といって飛行船に戻り、

信号が点滅している場所へ高速で向った。

目的の場所が近づいて来たので、船をステルスモードに切り替えて飛び山の高台に着陸した。

船から下り様子をみると例の宇宙船が見えている。

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