人類の始まり(ホモサピエンス)

尊伝義光(ソンデンギコウ)

第1章 

紀元前一万二千年ごろ一隻の宇宙船が地球に来た


      1



漆黒の闇の中、銀河に散らばる無数の星々が静かに瞬いている。


ある日(紀元前一万二千年ごろ)一隻の宇宙船が七色の淡い光を出しながら太陽系の中を進んでいた。

宇宙船の名前は「ホープ」全長約二百m 機械と生物の融合した乗り物。


形を自在に変化できる能力があり、今は巨大なクジラの様にも見える。

ほどなく進んで行くと前方に青い星が見えた、この船に乗っている乗員は惑星アトラから人口が増えたため移住を求めてきた、

新しい星を見つけて開拓することが目的だ、人々はみんな夢と希望に満ちている。


 ホープは確信したようだ。


船内の様子を見てみよう。


広い室内の中に睡眠カプセルが八十個並んでいる。


 やがてカプセルが開いて人々が目を覚ました。


※宇宙船が出発してから約一ヶ月が経っているが、カプセルの中にいた人達は時間の過ぎた感覚はなく一晩ぐっすり眠ったような感じなのだ。※


 いろいろな人達の声が船内に響ている。


「よく眠ったなー」  


「どこに着いたのかな…」


 一人の女の子が隣のカプセルの男性に、

「パパー、ホールに行ってみようよ」


と言うと笑いながら、

「ママとジョンにも声をかけて」


 室内のあちらこちらで、同じような光景が始まり、前方のホールへと人々は向かって行った。


 ホールはとても広く前方が透明になっていて、外の様子が見える。


三層に分かれてホテルのロビーのような開放感だ、


上段には司令室があり、クルーたちが次々と集まってきた。


「キャプテンおはようございます」

と一人の男が声をかけてきた副船長のマイクだ、 


「やぁマイクおはよう。」

笑いながら返事をして、


「どこかわからないけどホープが良い所を見つけたようだ」


 そして透明なスクリーンに映し出された太陽系の図面を見ながら

「ホープ探し物は見つかったかな?」


「キャプテン、私達の星とよく似た環境の星だと思います」



「そうかじゃあ先に食事をしてから、調査をすることにしよう」


時計を見ながら、

「ホープ四十分後に会議室に集まるようにクルー達に連絡してくれ。」


「了解しました。」


 ここで簡単にホープと乗員の説明をしよう。


まずホープはコンピューターと生物十種類のDNAが入った融合体。

動力は、体の中に小宇宙が在り太陽エネルギーを動力にしている、体は自由自在に変化でき、体長約二百m、寿命は推定1千万年。


つづいて乗員の説明をしよう。


乗員十歳から十七歳は学生男女三十名


十八歳から四十歳男女五十名


教育・医療・科学・調査・防衛・その他


十八歳以上は全員どれかチームに所属している。



       2


 

「マイク、一緒に食事に行こう。」


「はい、よろこんで」

そして二人は二階の食堂ホールへ向かった。


食堂に着くと、とても賑やかで楽しそうな声が響いている。


※ここでの食事のメニューはパン・パスタ・固形の完全栄養食品


スープ・ジュース・コーヒー・その他


壁側に二十台くらいの機械があり、スイッチを押すと出てくる※


二人はコーヒーと固形食品を機械から取り出し、


手に持って席を探していると、聞き覚えのある声が近くから聞こえた。

「父さーん、こっちこっちー」


その声は、息子のイアンだった。隣には弟のロビンもいる。


二人は笑顔でその席に座った。


ここで服装について説明しよう。


まずベルト中央についているバックルのデザインは五芒星のマーク、


これは故郷の星(アトラ)の象徴 ※再生・黄金分割※


左手首にはリング(通信装置)


 二つ共ホープとネットで繋がっていて体の健康管理もしてくれる。


また、ボディースーツの色や形も自在に変化できて機能的である。


ロビンが「お父さん新しい星に着いたみたいだね。どんな所かな」


「ホープはアトラとよく似た星だといっていたが調査してからのお楽しみだな」


「どんな所でどんな生き物が居るのか考えるとワクワクするな」

とイアンが言った。


食事と楽しい会話をして三十分ほどが経過したとき、


キャプテンのアラームがなった


「そろそろ会議室へ行こうか」


マイクとイアンが同時に、

「了解しましたキャプテン」

二人は顔を見合わせて笑った。


 イアンは十九歳で調査隊の一員所属して二年目


 ロビンは十六歳学生で科学技術部を目指して勉強中


三人はロビンと別れて会議室へ向かった。



      3


 クルー全員が集まった所で、キャプテンはホープに声をかけた。


「ホープその星に入ってみよう」 「わかりました」


船は七色の淡い光を出しながら進行して行き、地球の大気圏に入ると船の形を円盤状に変化させた。 船内に影響はない。


 船内ではクルー達が透明なスクリーンに映し出された情報を見ながらクルーの一人が、


「空気・温度・湿度問題なしです」


「それは良かった」

マイクが笑みをうかべている。


それから一時間ほど飛行した頃、キャプテンがホープに語りかけた。


「ホープ、適当な場所を見つけて降りてみよう」


「了解しました」


 少し経って開けた場所を選び四本の長い足を出して着陸した。

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