第52話 勝利
スィン。
ブオン!
バリーン。
「ステータスオープンンンンンンンン!」
スィン。
ブオン!
バリーン。
……。
スィ……
ブオン! バリン!
「ま、まだ指も出してないのにやめてくれないかな」
コウタがあくびした。お前は俺の弟子なんだから、あくびすんな。
「クランさん。無理にステータスオープンせずに、普通に戦いましょうよ。俺、斧でファイアーデッドホロウの頭をかち割ってやりますよ」
「待てえ! 待ってくれ! どうしても見たい。ステータス画面を見たい。個人情報を丸パクリたい! これは、ステータスカードを開くか、開かないかの戦いなんだ。俺が腕一本を失うか、俺がステータス画面を開き切るかの、腕をかけた戦いなんだ!」
「物騒ですね」
「クラン、かっこいい」
そうだろうステフ! お前なら分かってくれると思っていた!
俺は素早く腕を振り上げる。そして、つかむ素振りをする。
スィン。
……来る!
ブオン!
風圧をともなう長剣。指がステータスカードに触れる。
ここで、剣が横からないでくる。これをよけるか、指が速いか。
カードをつかむ、指を反らしてひねる。剣が腕の下を通る。俺の胴体がやばい!
だが、一度つかんだステータスカードは、二度と放すものか!
手に合わせて、俺がジャンプすればいいだけのこと。
俺は背面飛びの要領で長剣を飛び越える。
取った!
完全に俺の手に! ステータスカードを天にかざし、勝利を確信する。
「っくくくははははははは! 俺の勝ちだ」
ファイアーデッドホロウが、例のごとく自身の胸を押して、ステータス画面が自分で出せなくなったことに驚いている。
だが、すぐに俺に斬りかかってきた。
縦切り。とにかく、早くて厄介。死に急いだようだな。【速 さ】3000に免じて、即死してもらおうか!
「【弱 点】は、剣の柄についている目玉だってさ。じゃあな」
弓で一撃。
ファイアーデッドホロウの剣がぼろぼろと刃こぼれする。
俺に届くはずの大剣は、粉々に砕け散った。ファイアーデッドホロウの身体もみるみる崩れていく。
こいつの長剣の柄に目玉があることなんて、知らなかったけど。最後にファイアーデッドホロウは、俺のことを恨めしそうに見上げてくちていった。
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